宮城県丸森町で尻を露出して軽犯罪法違反 身体露出の罪と公然わいせつ罪
宮城県丸森町内で、女性客を左後部座席に乗せたままズボンやパンツを膝まで降ろして尻や太ももを露出して20分ほど運転した疑いで、タクシー運転手のA(60)が軽犯罪法違反(身体露出の罪)の疑いで宮城県警察角田警察署に書類送検された。
Aは、調べに対し、「運転するのに、腹回りのズボンが窮屈だった」と動機を供述し、容疑を認めている。
Aは、苦情がないのをいいことに、2年前から同様の行為をやっていたという。
(2017年2月14日の新聞記事を参考に作成したフィクションです。)
~身体露出の罪と公然わいせつ罪~
事例のタクシー運転手Aは、女性客を左後部座席に乗せたままズボンやパンツを膝まで降ろして尻や太ももを露出して20分ほど運転したとして、軽犯罪法違反(身体露出の罪)の疑いがかけられています。
Aが、公然わいせつ罪ではなく、軽犯罪法違反(身体露出の罪)に問われているのはなぜでしょうか。
公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をしたときに成立します(刑法174条)。
典型例は、路上など不特定又は多数の人が認識できる可能性のある状態で陰部を露出する行為です。
一方、公然わいせつ罪と似た犯罪に、身体露出の罪(軽犯罪法1条20号)があります。
身体露出の罪では、「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の条を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」を拘留又は科料に処すると定めています。
公然わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、「性欲を刺激、興奮又は満足させ、普通人の性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反する行為」に限られます。
路上などで陰部を露出する場合は、公然わいせつ罪が成立すると判断される可能性が高いでしょう。
なお公然わいせつ罪が成立すると考えられる場合は、身体露出の罪(軽犯罪法違反)は問題となりません。
事例の参考にした実際の事件では、目撃した女性によると、男の局部までは見えていなかったそうです。
目撃した女性は、以前にも同じ男のタクシーに乗っており、そのときは、ズボンを下ろして股間に手を入れ陰部付近を触っていたが、局部は見えなかったといいます。
陰部までは見えなかったとのことなので、軽犯罪法違反(身体露出の罪)に問われているのだと考えられます。
公然わいせつ罪の法定刑は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料と規定されており、一方、身体露出の罪(軽犯罪法1条20号)の法定刑は拘留又は科料です。
このように法定刑に違いがあるため、身体露出の罪(軽犯罪法違反)だと思われるのに公然わいせつ罪に問われている場合は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
(宮城県警察角田警察署への初回接見費用:44,200円)