宮城県での虚偽の不動産登記で逮捕
ウソの内容の不動産登記をし、電磁的公正証書原本不実記録罪などで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県内に住むAさん。
名取市で1人暮らしをする高齢のVさんに対し、固定資産税対策のためとダマして、Vさんが所有する不動産を第三者に売却する内容の委任状を作成させました。
Aさんはその委任状を使って、Vさんの不動産の所有権が第三者に移転された旨の登記を行いました。
後日、Vさんから岩沼警察署に被害届の提出がなされ、Aさんは電磁的公正証書原本不実記録・同供用の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
~どんな犯罪?~
Aさんの逮捕容疑となった犯罪、とても長い名前ですが、いったいどのような犯罪なのでしょうか。
条文を見てみましょう。
刑法
第157条1項
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第158条1項
第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
条文も長いので読みづらいのですが、要するに、公務員にウソの内容の申請をして、コンピューターで管理されている登記簿などに真実と異なる記録をさせると、157条1項の電磁的公正証書原本不実記録罪が成立します。
そして、間違った内容の登記簿等が公開され、第三者が見れる状態になったら、158条1項の供用罪が成立します。
実際には両方セットで成立することが多いでしょう。
ただし、セットで成立する場合も罰則が2倍にはならず、157条1項記載の罰則と変わらず5年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
Aさんは、本当は売却などがされていないVさんの不動産の所有権登記を、第三者に移転させました。
したがって157条1項の「公務員に対し虚偽の申立てをして…又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者」及び158条1項の「前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者」に当たるということになるでしょう。
~詐欺罪も成立する可能性~
そもそもAさんはVさんをダマして、委任状の交付を受けたり不動産の移転登記をしています。
これらの行為には別途、詐欺罪などが成立する可能性もあります。
第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪という、珍しい罪から紹介しましたが、詐欺罪の方が刑罰が重いですね。
~ご相談はお早めに~
逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
逮捕されると、裁判が始まる前に最大23日間、警察署で拘束され、取調べ等の捜査を受ける可能性があることになります。
しかしAさんのように複数の犯罪を犯した場合、最初に電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪で逮捕され、その後詐欺罪で再逮捕されるという流れになり、拘束期間が2倍になってしまうこともあり得ます。
とはいえ、逮捕されると手続が一気に進んでいきますので、ぜひお早めに弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)します。
接見では、成立する罪の内容や今後の手続の流れ等の説明、取調べを受ける際のアドバイス等をします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪や詐欺罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。