恐喝未遂罪の少年事件
恐喝未遂罪の少年事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(男子高校生,16歳)は,友達のBさん(女子高校生)と共謀し,SNSで性行為をすると誘い出し,現金を脅し取ろうと考えました。
そこで,二人はSNSで「宿泊先を探している」などと投稿した上,反応したVさん(50歳)に対して,性行為の内容や対価の金額を示しました。
後日,BさんとVさんが宮城県仙台市宮城野区にあるホテルから出てきたところを「未成年とホテルにいくのは犯罪だ。ばれたくなければ金をよこせ」と恐喝しました。
しかし,脅迫現場を見た通行人が宮城県警察仙台東警察署に110番通報をしたため,金銭を恐喝するまでには至らなかったといいます。
その後,Aさんは宮城県警察仙台東警察署の警察官により恐喝未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(2021年7月27日に神戸新聞NEXTに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【恐喝未遂罪とは】
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
恐喝罪とは,人を恐喝して財物を交付させる財産犯のことをいいます。
恐喝罪の手段は,暴行・脅迫です。
厳密には,この恐喝罪の手段である暴行・脅迫は,恐喝事件(恐喝未遂事件)の被害者の方の反抗を抑圧するに至らない程度のもののことをいいます。
いま述べた恐喝事件の被害者の方の反抗を抑圧するに至らない程度の暴行・脅迫により,恐喝事件の被害者の方が畏怖し(怖がり),財物が手渡されたという場合,恐喝罪が成立するのです。
刑法250条
この章の罪の未遂は,罰する。
刑法250条の「この章」とは,「第37章 詐欺及び恐喝の罪(刑法246条~251条)」のことをいいます。
したがって,恐喝罪の未遂は,恐喝未遂罪として処罰されることになります。
恐喝未遂罪は,恐喝事件の被害者の方の反抗を抑圧するに至らない程度の暴行・脅迫を加えたものの,①恐喝事件の被害者の方が畏怖しなかった(怖がらなかった)という場合や,②恐喝事件の被害者の方が畏怖した(怖がった)ものの,財物が手渡されるまでには至らなかった場合に成立します。
刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
恐喝未遂罪を含む未遂罪は,刑罰が減軽されることがあります。
ただし,必ず減刑されるわけではありません。
刑事事件例の恐喝未遂事件でいえば,「10年以下の懲役」という刑罰が減軽されることがあることになります。
【恐喝未遂罪の少年事件とは】
刑事事件例では,Aさんは宮城県警察仙台東警察署の警察官により恐喝未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは16歳の男子高校生であり,Aさんによる恐喝未遂事件は,少年事件にあたります。
少年事件とは,捜査対象者が20歳に満たない少年・少女である事件を指します。
少年事件では,少年法が適用され,成人の刑事事件とは手続きや処分に大きな違いがあります。
特に,刑事事件例では,Aさんは既に恐喝未遂罪の容疑で逮捕されており,この後,少年事件特有の手続きである観護措置がなされる可能性があります。
観護措置とは,少年鑑別所への収容と,そこでの少年の性格,資質,精神状態,生活環境の調査のことをいいます。
また,刑事事件例において,恐喝未遂罪の少年事件が家庭裁判所に送られると,家庭裁判所による少年審判を経て,保護処分を下される可能性があります。
重い保護処分(例えば,少年院送致など)を避けるためには,少年の交友関係の整理や生活環境の改善をすることを訴えていくことが必要となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
恐喝未遂罪の少年事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。