恐喝未遂罪の少年事件で観護措置回避
恐喝未遂罪の少年事件で観護措置回避を考えている場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【刑事事件例】
宮城県仙台市青葉区の高校に通うAさん(17歳)は、同区内の住宅街において、別の高校に通うVさん(16歳・同区内在住)に「しばかれたいんか。金払うんか。どっちか選べ。」などと脅し、金品を脅し取ろうとしました。
しかし、Vさんがなかなか金品を渡さなかったため、Aさんは金品を得ずにその場を立ち去りました。
その後、Vさんは宮城県仙台北警察署に恐喝未遂事件の被害を訴えました。
その結果、Aさんは恐喝未遂罪の容疑で逮捕・勾留されました。
Aさんは「警察から少年事件では少年鑑別所に収容される可能性があると聞いた。自分はどうなるのか。」と不安に感じています。
(2021年2月23日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【恐喝未遂罪とは】
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
刑法250条
この章の罪の未遂は、罰する。
人を「恐喝」したが、財物を「交付」させるに至らなかったとき、上記恐喝行為をした者には、恐喝未遂罪が成立します。
恐喝未遂罪が成立する「恐喝」とは、財物を交付させる手段として行われる暴行・脅迫であって、被害者の方の反抗を抑圧するに至らない程度のものをいいます。
刑事事件例では、Aさんは、Vさんに対して、「しばかれたいんか。金払うんか。どっちか選べ。」と言っています。
宮城県仙台北警察署の警察官は、このAさんの行為が被害者の方の反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫といえる、すなわち恐喝未遂罪の「恐喝」に当たると考えられたのだと思われます。
そして、結果としてAさんはVさんから金品を受け取ることができなかったため、財物を「交付」させるに至らなかったといえます。
よって、Aさんには、恐喝未遂罪が成立すると考えられます。
【恐喝未遂罪の少年事件の観護措置回避活動】
恐喝未遂罪の少年事件で逮捕された場合、被疑者の方(少年)はその後どのような手続きを取られるのでしょうか。
この点、少年42条では、「検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、…これを家庭裁判所に送致しなければならない。」と規定されています。
少年事件では、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思慮するときは、事件が家庭裁判所に引き継がれる(送致される)ことになるのです。
そして、逮捕・勾留されている少年事件については、観護措置(少年鑑別所に収容する措置)が取られる可能性があります。
観護措置決定がなされる要件は、少年が非行を犯したと疑うに足りる相当な理由、観護措置の必要性があること等が挙げられます。
観護措置の必要性は、具体的には、証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れがあること、緊急的に少年の保護が必要であること、少年を少年鑑別所に収容して心身鑑別を行う必要があることといった事由がある場合に認められます。
実際に観護措置が取られると、長期間(実務上4週間という運用が多くみられます)、少年鑑別所に収容されることになります。
そこで、刑事弁護士(少年付添人)としては、観護措置に必要性がないと考えられる場合や観護措置を避ける必要がある場合には、観護措置を避けるための刑事弁護活動(観護措置回避活動)をすることができます。
具体的には、観護措置に関する意見書や保護者の身元引受書、上申書(保護者の方から少年の生活状況や今後の監督方法等について聴取した書面)等を作成し、家庭裁判所に提出することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
恐喝未遂罪の少年事件で観護措置回避を考えている場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。