【事例解説】アルコールが抜けていないのに運転して交通事故が発生、適用される危険運転致傷罪の条文

【事例解説】アルコールが抜けていないのに運転して交通事故が発生、適用される危険運転致傷罪の条文

危険運転致傷罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県仙台市に住んでいる会社員のAさんは、飲み会で夜遅くまで酒を飲んでいました。
その翌日、アルコールはもう抜けていると思ったAさんは、車に乗って出かけました。
車を運転している際、通行人が通ったためブレーキを踏んで停まろうとしましたが、ブレーキが遅く通行人に接触してしまいました。
Aさんはすぐに怪我をした通行人の救護を行い警察へ通報し、ほどなくして仙台北警察署から警察官が駆け付けました。
検査したところAさんは、アルコールが抜けていないのに運転したことがわかり、Aさんは危険運転致傷罪の疑いで逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

危険運転致傷罪

自動車運転死傷処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)には、飲酒に関する危険運転致傷罪が定められていますが、その条文は1つだけではありません。
自動車運転死傷処罰法第2条には「次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。」とあり、8つある「次に掲げる行為」のうち第1号は、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」と飲酒に関するものになっています。
自動車運転死傷処罰法第3条には「アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。」とあり、こちらも飲酒に関する条文です。
この2つの条文は一見すると同じものに思えますが、第2条第1号はアルコールなどの影響があると分かっていて運転した場合で、第3条は正常に運転できると思ったがアルコールなどの影響があった場合に適用されるものです。
そのため故意に飲酒運転したわけではない第3条は、第2条第1号よりも刑罰が比較的に軽くなっています。
参考事件の場合、アルコールが抜けていると思って運転し、事故を起こしてアルコールが抜けていないと判明したため、第3条危険運転致傷罪が適用されます。

執行猶予

刑の執行を一定期間猶予し、その期間中に問題を起こさなければ刑の執行を免除する制度を執行猶予と言います。
この執行猶予は付けるための条件が刑法第25条にあり、そのうちの1つが「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しとなっています。
Aさんに適用される危険運転致傷罪の刑罰は、「12年以下の懲役」であるため、執行猶予が付けられなくなる可能性もあります。
懲役を3年以下に抑えるためには示談交渉が重要ですが、保険会社による示談交渉は、刑罰を抑えることを目的に行われるわけではありません。
そのため執行猶予を取り付けるのであれば、弁護士に示談交渉を依頼する方がより確実です。
執行猶予の獲得を目指す際は、弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

危険運転致傷罪に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤルでは、初回であれば無料の法律相談逮捕された方のもとに直接弁護士が伺う初回接見サービスをご利用いただけます。
フリーダイヤルは「0120-631-881」で、24時間対応可能です。
飲酒後に運転してしまった、ご家族が危険運転致傷罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご相談ください。

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