【事例解説】店の看板に火を付けたことで建造物等損壊罪、放火の罪が適用されるのに必要な条件

【事例解説】店の看板に火を付けたことで建造物等損壊罪、放火の罪が適用されるのに必要な条件

建造物等損壊罪と放火の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県白石市に住んでいる会社員のAさんは、普段の仕事が忙しくストレスを溜めていました。
イライラしていたAさんはたまたま通りかかった飲食店の前でライター取り出すと、看板に火を付けてその場を離れました。
通りかかった通行人が火に気付いて店の人に呼びかけ、しばらくして火は消し止められました。
その後に白石警察署が捜査したことで、Aさんが火を付けたことが分かりました。
そしてAさんは、建造物等損壊罪の疑いで逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

建造物等損壊罪

参考事件を見て、Aさんが放火の罪で逮捕されていないことを疑問に思う人もいるかもしれません。
しかし、放火の罪が成立するためには条件があり、Aさんの場合はその条件を満たさなかったため、同じく刑法に定められた建造物等損壊罪が成立するにとどまりました。
建造物等損壊罪とは、「他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」と刑法第260条に定められている犯罪です。
条文の後段は、建造物等損壊致傷罪建造物損壊致死罪を定めたものです。
建造物」とは屋根のある壁もしくは柱に支えられて土地に定着している、その内部へ人が出入りし得る家屋、その他これに類似する建造物を意味します。
損壊」は「物の効用を害する行為」を指しています。
破壊することはもちろん損壊ですが、外観を著しく損なわせる、容易に回復できないような状態にするといった場合も、物の効用を害したとして損壊に当たります。
飲食店は建造物に該当し、看板はその一部です。
そして看板に火を付けて建造物の効用を害したため、Aさんには建造物等損壊罪が成立しました。

放火の罪

放火の罪には、現住建造物等放火罪建造物等以外放火罪といった罪が定められていますが、Aさんには適用されませんでした。
これは放火の罪が成立するためには、公共の危険が条件の1つにあります。
これは不特定多数の生命や財産等に対しての危険を指す言葉です。
つまり、延焼によって炎が燃え広がり物や人を危険にさらす可能性が高ければ、放火の罪が適用される可能性が高まります。
参考事件の場合、看板に対して放火こそしましたが、そこから燃え広がる危険性がほぼなかったため、建造物等損壊罪が成立したと考えられます。
このように一般的なイメージと実際に適用される条文では違いがあり、どのような罪になるかは法的な専門知識がなければわかりません。
刑事事件を起こしてしまった際は、正しく自身の置かれた状況を把握するためにも、法律事務所に相談することが肝要です。

建造物等損壊罪に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、主に刑事事件と少年事件を取り扱っている法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回であれば無料の法律相談逮捕または勾留されている方のもとへ弁護士が面会に伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
24時間ご予約可能ですので、放火事件を起こしてしまった、またはご家族が建造物等損壊罪の疑いで逮捕、勾留されてしまった際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご相談ください。

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