受験生が大麻所持2
~前回からの続き~
受験を間近に控えた高校3年生A君(宮城県塩釜市在住)は、宮城県塩釜警察署に,大麻取締法違反(所持)で現行犯逮捕されました。
深夜塾から帰宅途中のA君に対して、宮城県塩釜警察署の警察官が職務質問と所持品検査をした際、A君が乾燥大麻入りのポリ袋を所持していたことが判明しました。
A君の両親は,A君の釈放に向けて少年事件専門の弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです)
前回の記事では、大麻は覚醒剤等の他の薬物に比べて、検挙人員のうち若年層の比率が高いことが特徴であるとお話ししました。
大麻などの薬物事犯では、一般に、逮捕,勾留される可能性が極めて高く、未成年(以下、「少年」)であっても成人とあまり変わりありません。
少年が周囲の誘いを断り切れなかった、さほど罪の意識を持たずに興味本位で使用してしまったというケースであっても、逮捕・勾留されてしまい、少年鑑別所に収容される可能性が高いです。
事例のA君は、受験を間近に控えた受験生であるため、ご両親としては、何とかA君を早期に釈放してもらって受験できるようにしたいと考えると思います。
釈放を求める場合、A君が手続きのどの段階であるかによって、弁護士がおこなう活動が異なってきます。
どの段階にせよ、保護者の身元引受書や上申書,学校の成績表、試験の予定表、受験票など,可能な限り,多くの資料を準備することが重要です。
1 逮捕段階
警察に対してはA君の釈放、検察官に対しては勾留請求,勾留に代わる観護措置請求をしないよう,裁判官宛には勾留や勾留に代わる観護措置の決定を出さないように、意見書や添付資料などを提出するなどしてA君の釈放を求めていきます。
2 勾留,勾留に代わる観護措置段階
これらの決定に対して、準抗告申立てという異議申立てを行い,Aさんの釈放を求めます。
その他に、勾留の執行停止の申立てという手段もあります。
「勾留の執行停止」とは,裁判所が「適当と認めるときに」,勾留決定を一時的に停止してもらうことにより,停止している間だけ釈放してもらう制度です。
例えば,両親や配偶者等の危篤,家庭の重大な災害,就職試験,入学試験の場合などに認められる可能性があります。
準抗告との違いは,釈放される期間が一時的である点で、勾留を停止する必要がなくなった場合には,再度警察などに留置され身柄拘束を受けることになります。
3 家庭裁判所送致段階
勾留されている少年については,家庭裁判所送致時に,観護措置決定を出すか否かの判断がなされます。
観護措置決定が出された場合は、一般的に4週間程度少年鑑別所に収容されることになります。
裁判官宛に観護措置決定を出さないよう意見書,上申書等を提出する、裁判官と面談するなどしてA君の釈放を求めていきます。
少年の更生の度合いや少年鑑別所に収容されることの不利益等を弁護士から的確に伝えることで,裁判官に観護措置決定を思い止まらせることができる可能性があります。
観護措置決定が出た後であれば、異議申立てや観護措置取消を求めるなどして、A君の釈放を求めていくことは可能です。
観護措置取消に関しては、受験など少年にとって重要なイベントがある場合,一時的に観護措置を取消してもらい、用件が済んだ後,再度,観護措置をとるという柔軟な方法がとられることもあります。
弊所でも、弁護士の活動により、入学試験のための一時的な観護措置取消が認められて、少年が無事入学試験を受験できたというケースが実際にありました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件・刑事事件専門の法律事務所であり、少年や被疑者・被告人の方に対してオーダーメイドの弁護活動・付添人活動をおこなっております。
受験生でなんとか釈放してほしいという少年事件でお困りの場合は、まずはお気軽にフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
(宮城県塩釜警察署への初回接見費用:38,800円)