児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚④

児童買春から児童ポルノ製造・公然陳列の罪が発覚④

~前回からの流れ~

Aさんは、出会い系アプリで女子高校生Vさん(16歳)と知り合いました。
Vさんが「今年の春に高校2年生になった」と話していたため、Aさんは,Vさんの年齢を16歳か17歳だろうと思いましたが、Vさんと援助交際をしたいと考えて、Vさんに3万円を渡す代わりに性交することを約束しました。
当日、Vさんと会ったAさんは、渡すお金を1万円増額する代わりにVさんとの性交時の場面を動画撮影させてほしいとVさんに持ち掛けました。
Vさんの了承を得たAさんは、Vさんと性交に及ぶ様子をスマートフォンで動画撮影しました。
帰宅後、Aさんは、その動画をインターネット掲示板に公開しました。
Vさんが宮城県遠田警察署に補導されたことをきっかけに事件が発覚し、Aさんは児童買春の疑いで宮城県遠田警察署逮捕され、スマートフォンを押収されました。
捜査の結果、Aさんは、20日間の勾留後、児童ポルノ製造の罪と児童ポルノ公然陳列の罪で再逮捕されました。
(フィクションです。)

~児童ポルノ公然陳列の罪~

児童ポルノ公然陳列の罪は,児童ポルノを公然と陳列した場合に成立する罪です。

法律7条6項
児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

児童ポルノ公然陳列の罪を犯すと、①5年以下の懲役、②500万円以下の罰金、③①②の両方のいずれかが科されるおそれがあります。
懲役刑と併せて罰金が科せられるような罰則になっているのは,児童ポルノを利用して不当に得た収益を吐き出させる意味合いもあると言われています。

児童ポルノ公然陳列の罪は、懲役刑と罰金刑の上限が単純所持や製造,提供より重いだけでなく,場合によっては懲役刑と罰金刑がまとめて言い渡される可能性があるため,児童ポルノに関する規制,処罰の中ではかなり重い部類に属します。
その理由は、不特定多数の者に写真や画像,動画が見られてしまうため,対象となった児童にもたらされる弊害が大きいためです。
児童ポルノ公然陳列の罪を犯してしまった場合,逮捕や刑事裁判となるリスクが高いです。
また、児童ポルノ公然陳列の罪の場合、実刑の可能性も否定できません。
起訴されて執行猶予獲得を目指す場合には、被告人が反省を深めていること、被害者へ被害弁償や示談をしていること,犯行に使用したパソコンを処分する等再犯防止に向けた具体的取組みをしていることなどを的確に立証していく必要があるでしょう。

なお、平成30年上半期の態様別の検挙件数では、製造事犯、提供・公然陳列事犯、所持等事犯のうち、提供・公然陳列事犯が最も少ない344件で、全体の約24%を占めています。
次回のコラムでは、児童買春児童ポルノ事件と再逮捕について解説します。

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(宮城県遠田警察署への初回接見費用:43,220円)

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