居酒屋の個室で性行為(公然わいせつ罪)
宮城県名取市に住むAさんは彼女のBさんと居酒屋に行きました。
その居酒屋は各テーブルが個室のような作りになっていますが、見ようとすれば通路から中の様子が見られるようになっていました。
お酒を飲んで酔っ払った二人。
酔った勢いで抱き合ったりしていましたが、歯止めが利かなくなり、性行為までしてしまいました。
その様子を偶然通路から発見した居酒屋の店員は警察に通報。
駆け付けた警察官によって公然わいせつ罪の疑いで事情聴取されることになりました。
(フィクションです)
~公然わいせつ罪~
居酒屋の他、カラオケボックスなどでも性行為をするケースがありますが、公然わいせつ罪が成立する可能性があります。
刑法第174条
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
「公然」とは、不特定又は多数の人が認識することのできる状態をいいます。
具体的な店内の作りにもよりますが、居酒屋やカラオケ店で通路から個室内が見える状況なのであれば、他のお客さんや店員などの不特定または多数の人が認識できる状態にあるといいうるでしょう。
また、性行為が「わいせつな行為」にあたることは間違いないでしょう。
相手方であるBさんが同意していることは、公然わいせつ罪の成否には関係ありません。
したがって、AさんとBさんは「公然とわいせつな行為をした者」にあたり、公然わいせつ罪が成立する可能性があります。
~今後の刑事手続の流れ~
AさんとBさんの行為は犯罪に当たりうるものですが、凶悪犯罪といったものでもありません。
そこで、警察官から事情聴取されたとしてもその後は帰宅を許され、逮捕や勾留といった身柄拘束をせずに在宅のまま手続が進む場合も多いでしょう。
犯行の内容や反省態度、前科の有無などを考慮し、不起訴処分(起訴猶予処分)に終わる可能性もあります。
そうなれば前科が付くことはありません。
一方、不起訴とならなかった場合、懲役刑を受ける可能性もありますが、略式裁判による罰金刑にとどまることも多いようです。
~少年の場合の手続~
AさんやBさんが20歳未満の少年だった場合はどうでしょうか。
居酒屋はともかく、カラオケボックスでの性行為は少年が行う場合も多いでしょう。
少年の場合は、警察官や検察官による捜査がなされることは成人の場合と同じです。
しかしその後、地方裁判所や簡易裁判所ではなく、家庭裁判所に事件が送致されるという違いがあります。
家庭裁判所では、家庭裁判所調査官などが中心となって、事件のことや少年の性格、生い立ち、家庭環境、犯罪傾向が進んでいるかといった調査がなされます。
その調査結果をもとにして、裁判官が軽微な事件と判断すれば、少年審判不開始決定がなされ、手続がすべて終了する可能性もあります(成人における不起訴処分(起訴猶予処分)に近いものです)。
一方、少年審判が開始されることになれば、さらなる調査等を経て、審判がなされることになります(成人の刑事裁判の判決に当たるものです)。
~不安点は弁護士に相談を~
AさんやBさんに成立する公然わいせつ罪も立派な犯罪です。
しかし、大きな損害を被る被害者がいない場合も多く、逮捕・勾留されたり、重い処罰を受ける可能性は高くないかもしれません。
しかし事件の後日、警察官や検察官の取調べのために再び警察署や検察庁に呼び出される可能性もあります。
どのような点に気を付けて取調べを受ければいいのか、不安も大きいでしょう。
また、不起訴(起訴猶予)にならなければ、たとえ罰金刑にとどまったとしても、前科が付くことになります。国家資格の取得に制限が出るなど、今後の人生に影響が出て来うるものとなります。
このような様々な不安を解消するために、弁護士に相談してみるのが良いでしょう。
取調べに向けたアドバイスを受けることもできますし、少しでも軽い処分で済むように、弁護活動を受けることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門とする弁護士の法律相談が初回無料となっております。
公然わいせつ罪などで捜査を受けた場合には、ぜひ一度ご相談ください。
(塩釜警察署までの初回接見費用:38,800円)