保釈中の逃亡【カルロス・ゴーン被告が国外へ】
犯罪をしたとして裁判にかけられている者が、保釈中に逃亡などをした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~カルロス・ゴーン被告が国外渡航~
2019年の年末、会社法違反(特別背任)などの罪に問われ、保釈中のカルロス・ゴーン被告がレバノンに渡ったというニュースが飛び込んできました。
保釈中の有名人が海外に行ってしまうというのは、まるで映画のような話ですが、実際に起こってしまいました。
ゴーン被告は日本の刑事司法制度に対する批判をしているようです。
実際に日本の刑事司法制度は、身体拘束が長期間に及ぶ、取調べに弁護士の立ち合いが認められていないなど、世界から見ると遅れているとされる点が多く、21世紀なのに中世レベルだと評されることもあります。
それはさておき、保釈中の被告人が逃亡などをした場合、被告人はどうなってしまうのでしょうか。
まずは保釈制度の内容から確認していきます。
~保釈とは?~
保釈とは、犯罪をして逮捕され、刑事裁判が進められている期間中に、保釈金を納めて、仮に釈放される制度のことをいいます。
被告人本人、あるいはその弁護人が裁判所に対し保釈請求をし、裁判所が許可すれば、保釈金を納めることにより釈放されるという流れになります。
なぜこのような制度があるのでしょうか。
刑事司法の世界では、冤罪を防止するため、逮捕された人であっても、有罪が確定するまでは、無罪であることを前提に出来る限り一般人と同じように扱うべきである、という建前があります(無罪推定の原則)。
そこで、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるような場合を除き、一時的にでも釈放するという制度が「保釈」ということになります。
保釈が認められると、家族と一緒に生活できる、就業できる、弁護士との打ち合わせがしやすくなるなどのメリットがあります。
ただし、保釈を許可する場合も、次回以降の裁判に必ず出廷すること、住居を勝手に変えないこと、海外渡航をしないこと、特定の事件関係者と連絡を取らないことなどが条件として付けられます。
保釈金は、上記の条件違反行為などを行わなければ、たとえ有罪になっても返還されます。
しかし、条件違反があった場合には保釈が取り消されて再び身柄が拘束され、保釈金も没収される可能性があるという制度になっています。
ペナルティを設けて条件違反の可能性を低くした上で釈放するというわけです。
保釈金の金額は、犯罪の内容や本人の資産を考慮して、裁判所が定めます。
重い犯罪ほど重い刑罰を受けることが予想され、逃亡等の条件違反をしたくなるだろうとの考え方により、金額が高くなりやすいです。
また、本人の資産が多ければ、少額では条件違反を防げないので、金額は高くなる場合があります。
没収されては困るから条件違反を思いとどまろうと考えるであろう金額を定めるわけです。
ゴーン被告の場合、報道によれば、保釈金は合計15億円とのことですので、資産などが考慮されてかなり高い金額が定められたようです。
しかし今回はペナルティとして機能しなかったということになります。
今後、ゴーン被告は拘置所に戻され、15億円は国に没収されることが考えられます。
また、条件違反をしたことにより反省をしていないなどと判断され、裁判の判決が重くなることも考えられます。
ただし、国外は国内よりも日本の警察が身柄拘束に向けて動きにくいですし、日本とレバノン等の諸外国との政治的な話も絡んでくるでしょうから、どういう展開を見せるかは不透明です。
~ぜひ弁護士にご相談を~
ゴーン被告のような大きな事件でなくても、保釈中に条件違反をしてしまった場合、本人はもちろん、ご家族の方々は今後の展開が不安なことでしょう。
すでに国選弁護人などが付いておられると思いますので、詳しいことはその弁護士に聞いてみるのが良いと思います。
また、セカンドオピニオンを聞きたいという場合には、弊所までご連絡いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、釈放中の場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
保釈中に保釈条件に違反してしまったといった場合には、ぜひご相談ください。