裸の自撮り要求で取調べ
宮城県角田市に住む30歳のAさん。
SNSで知り合った17歳の女性に対し、裸の写真を送ってほしいと頼みました。
女性は断りましたが、しつこく要求してくるAさんに恐怖心を抱き、親に相談。
親が警察に連絡したことから、角田警察署の警察官からAに対し、取調べを受けに来るよう電話が入りました。
Aさんはどうなるのでしょうか。
(フィクションです)
~自撮り画像を要求しただけでも犯罪~
18歳未満の者に対し、裸の自撮り画像などの児童ポルノ画像を送るよう要求すると、実際に送らせるに至らなくても、宮城県・青少年健全育成条例に違反する可能性があります。
宮城県・青少年健全育成条例
第31条の2
何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を行うように求める行為
第2号 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求める行為
第41条4項
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第8号 第三十一条の二の規定に違反して、青少年に対し児童ポルノ等の提供を行うように求めた者
これらの条文は2019年6月1日に施行されました。
後述の刑法や児童ポルノ禁止法に抵触しない要求行為についても取り締まることにより、早期に事件を解決し、被害の拡大を防ごうとするものです。
他の自治体でもこのような条例を制定する動きが広まっています。
青少年に拒まれたにもかかわらずなお要求したり、青少年の判断能力の未成熟に乗じた威迫等の不当な手段を用いて要求すると、30万円以下の罰金または科料となってしまうことになります。
なお、科料とは1000円以上1万円未満の金額を徴収する刑罰です。
~手段によっては刑法犯にも~
また、自撮り画像を要求する際に、例えば「送らなければ名前をばらすぞ」などと言って強い態様で迫った場合には、より重い刑法の強要未遂罪が成立する可能性もあります。
刑法第223条(強要)
第1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
第2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
第3項 前二項の罪の未遂は、罰する。
~自撮り画像を送らせると~
そして実際に裸の画像などを送らせた場合、児童ポルノ禁止法違反となります。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第7条4項
前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
児童ポルノ画像を送らせると、児童ポルノ画像を作り出したことになるので、「製造した」に該当することになります。
罰則は7条2項に記載されていますが、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。
~弁護士に相談を~
警察から呼び出しを受けた場合、どのような罪が成立し、どのくらいの刑罰を受けるのか、どのような手続が進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらよいのか等々、不安が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料で行っております。
仮に逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、逮捕されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
接見や法律相談では上記のような不安点にお答え致します。
児童ポルノ画像の要求などで警察に呼び出された、逮捕されたといった場合には、ぜひご相談ください。