嫌がらせの出前大量注文で逮捕【偽計業務妨害罪】

嫌がらせの出前大量注文で逮捕【偽計業務妨害罪】

嫌がらせで出前の大量注文などを行い、偽計業務妨害罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県石巻市に住むAさん。
勤め先のV社から解雇されたことに恨みを募らせ、仕返しすることにしました。
ピザを大量注文してV社に届けさせたり、多数のタクシーをV社前に配車予約したりといった嫌がらせを行いました。
V社やピザ屋、タクシー会社からの被害届の提出を受けた石巻警察署が、関係者からの聞き取りや、電話会社から通話履歴の開示を受けて分析するなどの捜査をした結果、Aさんの犯行と判明。
Aさんは逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~偽計業務妨害罪が成立~

こういった種類の嫌がらせは、注文の届け先になった人や会社の他、注文を届けた店などにも大きな迷惑がかかります。
そして、これによって生じた損害を賠償する責任が出てきますし、偽計業務妨害罪という犯罪まで成立することが考えられます。
条文を見てみましょう。

刑法第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

この条文からすると今回は、

①偽計を用いて
②人の業務を妨害した

と言えるかが問題となります。

①偽計を用いて
「偽計」とは、人を欺いたり、人の勘違いやある事実を知らない状態を利用したり、人を誘惑したりなどの不正な手段をいいます。
V社が注文していないのに注文したと欺いたわけですから、①偽計を用いたといえるでしょう。

②人の業務を妨害した
ピザを宅配したり、タクシーを向かわせたのに、料金が取れなかったり、他の業務をできなかったり、その後の対応に時間を割くことになりうるわけですから、Aさんの行為はピザ屋やタクシー会社の業務に支障を生じさせうるものと言えます。
また、V社も場合によっては料金を支払ったり、その後の対応に追われるなど、業務に支障が生じうるといえます。
したがって、ピザ屋やタクシー会社、V社という②人の業務を妨害した、といえます。

以上により、偽計業務妨害罪が成立するといえるでしょう。

~不当解雇だったとしても~

仮にAさんの解雇が違法だった場合、労働組合による対抗手段として正当なものであれば、犯罪が成立しない場合もあります(労働組合法1条2項参照)。
しかし、Aさんの行為はV社以外のピザ屋やタクシー会社も巻き込む不当なものであり、正当な争議行為とは到底言えません。

したがって偽計業務妨害罪が成立することに変わりはありません。

せいぜい、動機面で同情できる点があるとして、検察官の処分や裁判で科される刑罰の重さに影響があるかもしれないという程度になってしまいます。

~お早めにご相談を~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

弁護士としては、まずは勾留を防いで早期釈放を目指すとともに、軽い処分や判決となるよう活動していくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

早期釈放や軽い処分・判決につながるよう、偽計業務妨害罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

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