大学准教授が盗撮で逮捕
岩手大学の准教授が、盗撮で逮捕された事件がありました。
東京で盗撮行為 岩手大学元准教授「停職3か月懲戒処分相当」/岩手・盛岡市
Yahoo!ニュース(IBC岩手放送)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。
~盗撮しようとして逮捕された~
この事件は今年3月、岩手大学の准教授の男性が、出張で滞在していた東京都内のコンビニで、女性のスカートの中を盗撮しようとしたというもの。
7月になって逮捕され、その後不起訴処分になりましたが、10月に入って大学を辞職しました。
准教授の辞職後に、大学は、「停職3か月の懲戒処分が相当」という発表をしました。
すでに辞職した後なので、懲戒処分にすることは出来ませんが、単にうやむやにするのではなく、大学としての検討結果を公表したほうが良いと判断したと思われます。
今回、犯行から逮捕まで期間が空いた理由はわかりませんが、一般的には、犯人を特定するのに時間がかかった可能性が高いです。
まれに、犯人を特定し、警察署に出頭して取調べを受けるよう要求したにもかかわらず、一向に出頭に応じないことから、逮捕に至ると言うケースもあります。
また、今回の逮捕容疑は、盗撮「した」ことではなく、盗撮「しようとした」こととなっていますが、どういうことでしょうか。
今回の事件の場所である東京都の迷惑防止条例を見てみましょう。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
第5条
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 省略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
5条(2)には、「写真機その他の機器を用いて撮影し」という文言の他に、「又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」という文言が規定されています。
つまり、盗撮に成功していなくても、盗撮しようとしてカメラを向けたり、設置した時点で、迷惑防止条例に違反する可能性があるのです。
今回の事件でも、①盗撮しようとしてスカートの下にカメラを差入れるような動きをして、女性もしくは周りにいた店員や客に気付かれて逃げたが、撮影に成功していなかった可能性があります。
あるいは、②すでにカメラを処分していて、盗撮に成功したことは立証できそうになかったが、少なくとも盗撮しようとしたこと自体は、目撃情報や防犯カメラ映像などから確実なので、盗撮しようとした容疑で逮捕した、といった可能性もあります。
なお、多くの都道府県の条例が、盗撮目的でカメラを向けたり設置しただけで犯罪となる規定となっており、宮城県も同様です。
~不起訴処分になった~
元准教授の男性は、最終的に不起訴処分になっています。
不起訴処分とは、今回は大目に見るということで、裁判にかけず、前科も付かずに捜査を終了することを言います。
この不起訴処分は検察官が行います。
犯罪をしたことが明らかにもかかわらず、不起訴処分になることは多くあります。
たとえば、比較的軽い犯罪で、犯行を認めて反省し、前科もなく(あるいは少なく)、被害者に謝罪・賠償して示談を結んでいるケースでは、不起訴処分になる可能性が十分考えられます。
一般的に今回のような盗撮は、被害者にとっては迷惑なことではありますが、犯罪の中では比較的軽いものです。
細かい事情は報道では分かりませんが、元准教授と被害者との間で示談が結ばれたといった事情から、不起訴処分となった可能性も十分考えられます。
~弁護士にご相談下さい~
あなた自身や、ご家族が、盗撮に限らず何らかの犯罪で逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けそうか、取調べではどう受け答えしたらいいのか、示談はどうやってしたらいいのかなど、わからないことだらけでご不安だと思います。
それぞれの事件内容に応じてアドバイス致しますので、ぜひ一度、弁護士にご相談下さい。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談をご利用ください。
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