Archive for the ‘暴力事件’ Category
【事例解説】他人の車を汚したことで器物損壊罪、「損壊」の定義と事情聴取を受ける際の注意点
【事例解説】他人の車を汚したことで器物損壊罪、「損壊」の定義と事情聴取を受ける際の注意点
器物損壊罪と事情聴取について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県宮城郡に住んでいる大学生のAさんは、居酒屋でお酒を飲んでいました。
その帰り道、飲み過ぎたことで尿意を催し、酔っ払っていたAさんは近くの駐車場に停めてあった車に放尿しました。
その車の持ち主であるVさんは近くにいて、Aさんに詰め寄りました。
しかし、Aさんが酔っているためまともに話ができないと感じたVさんは、警察に通報しました。
その後、警察官が現れ、器物損壊罪の容疑でAさんを塩釜警察署に連行しました。
(この参考事件はフィクションです。)
器物損壊罪
物を壊した際に適用されるのは、刑法に定められ器物損壊罪です。
刑法第261条がその条文であり、「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」といった内容です。
公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪の条文が「前3条」のことで、この3つに該当しない損壊が器物損壊罪に適用されます。
しかし、Aさんは物を破壊したわけではないので、器物損壊罪が適用されたことに疑問を持つ人もいるかもしれません。
しかし、器物損壊罪における損壊は、物の効用を害する一切の行為と定義されているため、破壊だけが損壊というわけではありません。
例えば、他人の物を隠した場合、持ち主は隠されたその物を使うことができなくなるため、損壊に当たります。
汚す行為も、物の造形が損なわれ元の状態で使えなくなるので、容易に元の状態に戻せないのであれば効用を害されたことになります。
ただし、心理的に使えない状態にすることも効用を害したと言えるため、Aさんのように車に放尿することも器物損壊罪になります。
これは車が洗浄されたとしても、車の持ち主が気にせずに使えるとは言い難いため、容易に元の状態に戻せない状態にあると判断されるからです。
事情聴取
事件を起こして警察署に連行されれば、そこで事情聴取(取調べ)を受けることになります。
事情聴取では受け答えした内容が供述調書にまとめられます。
これは裁判になった場合に証拠としても使われ、後の警察の捜査にも大きく影響します。
そのため事情聴取での発言は重要なものになりますが、ほとんどの人は適切な対応を取れません。
事情聴取で警察に呼ばれている際は、事前に法律相談を受けましょう。
Aさんのように相談する間もなく連行されてしまうこともありますが、事情聴取は1回で終わるとは限りません。
間隔をあけて再度警察に呼ばれることもあり、事件の内容次第で回数、時間が異なってきます。
事情聴取を受ける際は刑事事件に詳しい弁護士に相談し、事情聴取のアドバイスを受けることがお勧めです。
まずはご相談ください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件及び少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回無料の法律相談をご予約いただけます。
また、同じフリーダイヤルで逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約も受け付けております。
どちらも24時間電話対応可能ですので、刑事事件となり事情聴取に呼ばれている、器物損壊罪でご家族が逮捕されてしまった際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご相談ください。
【事例解説】知人の悪口をSNSでコメントし侮辱罪が適用、逮捕されない事件での注意点
【事例解説】知人の悪口をSNSでコメントし侮辱罪が適用、逮捕されない事件での注意点
侮辱罪と在宅事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県名取市に住んでいる大学生のAさんは、同じ大学に通っているVさんのことを嫌っていました。
Aさんは自身のSNSで、Vさんに対して「カス」や「バカ」と事あるごとにコメントしていました。
ある日、Aさんの自宅に警察官がやって来て、スマホでAさんのアカウントを見せながら「これはあなたのアカウントで合ってますか」と言われました。
そしてVさんに対する悪口のコメントをしたか聞かれ、Aさんは素直に認めました。
その後Aさんは侮辱罪の疑いで、岩沼警察署に連行されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
侮辱罪
刑法の「名誉に対する罪」の章に、侮辱罪は定められています。
刑法第231条がその条文であり、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定められています。
侮辱罪における「公然」とは、不特定多数の人が知り得る状況にあることを意味します。
Aさんはインターネット上で発言していますが、不特定多数の人が閲覧できるインターネットでのコメントは、公然と行っていると考えられるため、侮辱罪の要件を満たします。
「事実を摘示しなくても」とありますが、事実を摘示した場合には名誉棄損罪が適用される可能性が高いです。
具体的な事実ではない侮辱を公然と行うと、侮辱罪が成立します。
Aさんは公然性の高いSNS上で、Vさんのことを「カス」や「バカ」と具体的な事実ではないコメントをして侮辱したため、侮辱罪が適用されました。
在宅事件
刑事事件を起こしても必ず逮捕されるわけではなく、身柄拘束の必要性がなければ逮捕されません。
そのことは「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。」と刑事訴訟法199条2項に定められています。
罪を犯したと疑うに足りる理由があり、逃亡や証拠隠滅などのおそれがあるなら逮捕されますが、ない場合は在宅事件として捜査が進みます 。
また、犯罪の証拠があったとしても、比較的罪が軽く、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されれば在宅事件となることが多いです。
在宅事件は捜査機関が被疑者を取調べに呼び出すなどして、事件の捜査を行います。
身体拘束を受けない在宅事件ですが、これには国選弁護人を選任できないというデメリットがあります。
逮捕されてしまった場合は、取調べ後に警察は事件を検察に送致し、検察は裁判所に勾留請求をするかどうかを決めます。
そして勾留が決まってしまうと身柄を拘束されることになりますが、国選弁護人を選任することができるようになります。
しかし、在宅事件では当然勾留が付かないため、国選弁護人の制度を利用できません。
逮捕されない在宅事件とは言え、有罪となれば前科が付いてしまうので、在宅事件であっても弁護士の存在は重要です。
在宅事件の際は、前科が付くことを防ぐためにも私選の弁護人を選任し、不起訴処分の獲得を目指す弁護活動を依頼しましょう。
侮辱罪に強い法律事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件に特化している法律事務所です。
初回であれば無料の法律相談や、逮捕または勾留中の方のもとへ直接弁護士が赴く初回接見サービスを、当事務所ではご利用いただけます。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間体制でお電話を承ります。
在宅事件として捜査を受けている、または侮辱罪の疑いでご家族が逮捕、勾留されてしまった、そのような時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご相談ください。
【事例解説】職場の同僚と口論になり暴行事件に発展してしまったケース、事情聴取での対応の重要性
【事例解説】職場の同僚と口論になり暴行事件に発展してしまったケース、事情聴取での対応の重要性
暴行罪と事情聴取について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県亘理郡に住んでいる会社員のAさんは、同僚であるVさんと仕事について話していました。
AさんとVさんで方針が噛み合わず、口論に発展しました。
徐々に内容は相手への悪口に変わっていき、AさんはVさんのことを殴ってしまいました。
殴られたことを怒ったVさんはそのまま帰り、その帰り道で警察に相談しました。
後日、Aさんの自宅に来た警察官が「暴行罪について話を聞きたい」と言って亘理警察署にAさんを連行しました。
(この参考事件はフィクションです。)
暴行罪
刑法208条に「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と暴行罪は定められています。
刑法における暴行は条文によって様々な意味がありますが、暴行罪における暴行とは、人の身体に対して不法な有形力を行使することを言います。
殴ったり蹴ったりは典型的な暴行ですが、光や音などの物理力を行使することも暴行となります。
この場合の暴行は相手側に対して接触がないものでも暴行罪の要件を満たす可能性があります。
過去の例では、脅し目的で日本刀を抜き身で振り回し、室内の誰にも当たらなかったが暴行とされたケースもあります。
故意に行われたかどうかも重要であり、たまたま歩いていて角から出てきた人とぶつかっただけでは、暴行罪にはなりません。
条文には「傷害するに至らなかったとき」とあるため、傷害に至ってしまった、つまり怪我を負ってしまった場合は暴行罪ではなく、傷害罪になります。
また、こちらは傷害させる故意がなくとも、暴行の故意があればよく、怪我を負わせるつもりまではなかったとしても暴行罪にはならず、傷害罪となります。
AさんはVさんを故意に殴っており、しかしその結果Vさんが傷害にいたらなかったため、暴行罪が成立しました。
事情聴取
参考事件では警察署にAさんが連行されています。
事件が起きた場合は必ず逮捕されるわけではなく、Aさんのように逮捕されずに警察に呼ばれて事情聴取を受けるケースもあります。
事情聴取は1回で終わることもありますが、事件の内容次第では複数回行われたり、長時間かかったりすることもあります。
この事情聴取の内容は供述調書として記録されます。
これは裁判でも使われる重要なものであるため、事情聴取では適切な対応をしなければなりません。
しかし、ほとんどの人は初めての経験で、何を話せばいいかも分からないでしょう。
そのため警察に事情聴取のため呼ばれている時は、弁護士に相談しましょう。
弁護士がいれば事件の内容からどのような発言が適切かわかり、その後の対応でも法的なサポートを受けることができます。
Aさんのように暴行罪で警察に呼ばれている際は弁護士に相談し、弁護活動を依頼することをお勧めします。
暴行罪に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件に特化した法律事務所です。
初回であれば無料の法律相談の他、逮捕または勾留されてしまった方のもとへ直接弁護士が赴く初回接見サービスを、当事務所ではご利用いただけます。
ご予約はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間年中無休でご利用可能です。
暴行事件を起こしてしまった方、またはご家族が暴行罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご相談ください。
【事例解説】動画配信サイトでの発言が原因で名誉棄損罪、容疑を否認する際の注意点について
【事例解説】動画配信サイトでの発言が原因で名誉棄損罪、容疑を否認する際の注意点について
名誉棄損罪と否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県牡鹿郡に住んでいる大学生のAさんは、動画配信サイトで配信活動をしていました。
Aさんは自身が配信をしている際に、同じ大学に通っているVさんを指して「奴は俺を殺すための計画を立てている」と話しました。
その配信をVさんの関係者が見ていたため、Aさんのことを警察に相談しました。
その後Aさんは、名誉毀損罪の容疑で石巻警察署に逮捕されました。
Aさんは、「名誉毀損をする目的で配信していたのではない」と否認の主張をしています。
(この参考事件はフィクションです。)
名誉毀損罪
刑法の「名誉に対する罪」の章に名誉棄損罪は規定されています。
刑法第230条第1項がその条文で、内容は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」となっています。
「公然」とは不特定または多数の人が認識できる状態を言います。
インターネットは特に不特定多数が利用するものであるため、公然性が高いと言えます。
伝播する可能性が高いと公然性も高いとされるため、「事実を摘示」する対象が少人数かつ特定の相手だけだったとしても、その相手を通じて適示した事実が広がっていく可能性があるならば公然性が認められます。
この適示する事実は、秘密にされていない調べればわかる内容であってもよく、この適示によって人の社会的評価が害される(害される可能性がある)、つまり「毀損」されることが重要です。
内容は個人による評価や価値判断ではなく、ある程度の具体性がある内容でなければいけません。
この場合の「人」には法人も含まれ、会社やその他団体の名誉を毀損しても名誉毀損罪が成立します。
また、「その事実の有無にかかわらず」とあるため、その内容が真実であるかどうかは問われません。
例えば、とある男女が不倫関係にあると暴露した場合、不倫が本当であれ嘘であれ、その情報が出回った時点で社会的評価を害する危険があります。
そのため、虚偽の事実を摘示していたとしても名誉棄損罪は適用されます。
そしてAさんは不特定多数が視聴可能な動画配信サイトで、Vさんが殺害計画を立てていると言ってVさんの社会的な評価を下げる危険性のある発言をしたため、名誉棄損罪になりました。
否認
参考事件でAさんは、名誉を棄損する意図はなかったと容疑を否認しています。
否認すること自体は問題のある行為ではありません。
しかし、容疑を否認すると勾留が長引いてしまう可能性があります。
勾留とは逮捕後に10日間、延長が認められれば20日間身体拘束を継続することです。
これは否認している被疑者を釈放すると、罪証隠滅や逃亡を図る可能性があると考えられているからです。
そのため否認事件で勾留および勾留延長の阻止をするためには、弁護士の弁護活動が重要です。
弁護士を通して罪証隠滅および逃亡の可能性がないことを主張し、身元引受人を立てるととった活動をすれば、早期に釈放される可能性が高まります。
また、被害者のいる事件では示談交渉の際も弁護士のサポートを受けることができるので、否認事件の際は速やかに弁護士に相談することをお勧めいたします。
否認事件の際はご相談ください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回無料の法律相談および逮捕または勾留中の方のもとへ弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を受け付けております。
フリーダイヤルは24時間、365日利用可能です。
否認事件の際、またはご家族が名誉棄損罪で逮捕されてしまった際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご相談ください。
【事例解説】SNS上で発生した脅迫事件、示談交渉を行う際の注意点と弁護士を入れるメリット
【事例解説】SNS上で発生した脅迫事件、示談交渉を行う際の注意点と弁護士を入れるメリット
脅迫罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県柴田郡に住んでいる大学生のAさんは、同じ大学にいるVさんのことを嫌っていました。
AさんはVさんが持つSNSのアカウントに対して、「いつか殺してやるぞ」「学校にいけなくしてやる」などとメッセージを送っていました。
ある日、Aさんの自宅に警察が訪ねて来て、「これを送ったのは君だよね」とAさんがVさんに送ったメッセージを見せました。
Aさんは脅迫罪について認めたため、大河原警察署に連行されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
脅迫罪
脅迫罪は刑法に定められた犯罪です。
刑法第222条第1項には「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」と定められており、これがAさんに適用された条文です。
脅迫罪における「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知することです。
この脅迫は相手に伝わった時点で成立するため、実際に脅迫によって伝えられた相手方が恐怖心を抱いたかどうかは関係ありません。
そのため脅迫を受けた相手方が、脅迫の内容に全く恐怖心を抱かなかったとしても、脅迫罪は成立します。
この脅迫にはやり方の制限がないため、口頭だけでなく態度や文章で示す、第三者を媒介して間接的に脅迫するケースでも脅迫罪となります。
そのためSNSのアカウントを使ってVさんに脅迫するメッセージを送ったAさんには、脅迫罪が適用されました。
また、刑法第222条第2項には「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。」とあるため、例えば「お前の親を殺す」などの脅迫も脅迫罪になります。
示談交渉
被害者が存在する事件は、示談を成立させることが事件を解決する鍵になります。
参考事件の場合、AさんとVさんは同じ大学にいるため、示談交渉のために接触することは比較的簡単です。
しかし、脅迫事件の被害者からは接触を避けられる可能性が高く、仮に示談交渉できたとしても対面したためにかえって拗れてしまう懸念があります。
スムーズに示談交渉を進めるのであれば、専門知識を持った弁護士が間に入り、サポートを受けながら話し合いを続ける方がいいでしょう。
脅迫事件で示談交渉をお考えの際は、弁護士に相談し、弁護活動を依頼することをお勧めいたします。
脅迫事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件を中心に扱う法律事務所です。
当事務所は初回であれば無料の法律相談の他、逮捕されてしまった方のもとへ弁護士が直接赴く初回接見サービスなどを実施しています。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」で、土、日、祝日も電話対応可能です。
脅迫事件の当事者となってしまった、脅迫罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった、このような場合は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご連絡ください。
【事例解説】飲食店内で店員を怒鳴りつけるなどして、威力業務妨害罪で逮捕されたケース
【事例解説】飲食店内で店員を怒鳴りつけるなどして、威力業務妨害罪で逮捕されたケース
参考事件
宮城県多賀城市に住んでいる会社員のAさんは、市内にあるファミリーレストランを訪れていました。
Aさんは注文をしましたが、その際の店員の対応が良くないと思ったため、店員に対して説教をしました。
そこでヒートアップしたAさんは、店員に対して怒鳴り声をあげたり、拳を振り上げて殴る振りをしたりなどしました。
それを見ていた店長はこのままでは業務に支障が出ると思い止めましたが、それでもAさんは止まらず、店長は警察に通報することにしました。
ほどなくして塩釜警察署の警察官が現れ、威力業務妨害罪の容疑でAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
威力業務妨害罪
威力業務妨害罪は刑法に定められています。
刑法第234条に規定があり、「威力を用いて人の業務を妨害した者」に適用され、その法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています。
「威力」とは人の意思を抑圧するような勢力を意味します。
この威力がカバーする範囲は広く、脅迫や暴行も入りますが、他にも地位などを用いての威迫、物を損壊する、集団での力の誇示など様々なものが含まれています。
過去には大学の授業中に大声を出して教師に質問をし続けことが、「威力を用いて」いると判断されたこともあります。
「業務」とは仕事だけを指す言葉でなく、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業を指しています。
そのためボランティアや慣例など、金銭が発生しないものも含まれています。
このような業務の平穏かつ円滑な遂行を害するおそれのある行為を行うことが、「業務を妨害した」ことになります。
妨害のおそれがあることをすれば足りるため、実際に妨害された結果までは必須となりません。
そのため、店員を怒鳴るなどして威力を用い、その間店員ができたはずの業務を妨害したAさんには威力業務妨害罪が適用されます。
また、この威力の行使は被害者の目の前で行われている必要までは無く、威力の行使した結果、業務を妨害する影響が生じたケースでもいいため、いわゆる迷惑動画の撮影、投稿は威力業務妨害罪となります。
示談交渉
威力業務妨害罪は被害者が存在している犯罪であるため、弁護活動では示談交渉が重要になります。
示談交渉は当事者同士で行うことも可能ですが、法的な知識がない状態での示談交渉は、上手くいかずに拗れてしまうことも多々あります。
また、参考事件のように被害者が店舗、つまり会社などである場合、弁護士がいなければ示談交渉に応じられないと言われてしまうケースもあります。
そのため威力業務妨害罪で示談交渉をお考えの際は、刑事事件に詳しい弁護士に依頼することをお勧めいたします。
威力業務妨害罪に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件、少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所は初回無料の法律相談の他、逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しております。
どちらのご予約も24時間体制で、ご予約を受け付けております。
威力業務妨害罪で事件を起こしてしまった方、またはご家族は威力業務妨害罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、お電話ください。
【事例解説】他人の車を蹴って傷を付け器物損壊罪となり逮捕、否認事件での身体拘束について
【事例解説】他人の車を蹴って傷を付け器物損壊罪となり逮捕、否認事件での身体拘束について
器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県大崎市に住んでいる大学生のAさんは、飲み会で友人と喧嘩になりました。
その場は大事になりませんでしたが、気が立っていたAさんは帰り際に店の近くの駐車場の車を蹴るなどして、複数個所に傷を付けました。
後日、車の持ち主が車に傷が付いていることに気付き、警察に通報しました。
古川警察署が監視カメラなどを確認した結果、車に傷を付けたのはAさんであることがわかりました。
その後、警察官がAさんの自宅に訪れ、Aさんは酔っていたため覚えていないと説明しましたが、器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
器物損壊罪
器物損壊罪は、刑法に定められた公用文書等毀棄罪・私用文書等毀棄罪・建造物等損壊罪をカバーするような形で規定されています。
刑法第261条がその条文であり、内容は「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」とされています。
「前3条」が前述した3つの犯罪を定めた刑法第258条・刑法第259条・刑法第260条です。
器物損壊罪が定める範囲は非常に広く、「他人の物」には土地だけでなくペットなどの動物も含まれています。
「傷害」が動物に対するものであり、ペットの肉体や健康を害し、さらには死亡さることでも、器物損壊罪は適用されます。
Aさんの場合、他人が所有している車に対して傷を付けているため、器物損壊罪となりました。
また、器物損壊罪における「損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為をいいます。
Aさんのように物に傷を付ける行為は、典型的な「損壊」ですが、物を隠す、汚すといった行為も「損壊」となります。
例えば、会社に対する抗議の目的で、事務所やオフィスの壁やガラスなどにビラを大量に張り付けるといった行為は「損壊」にあたります(この場合は建造物が被害にあっているので建造物損壊罪が適用される可能性が高いです)。
否認事件
Aさんは事件について覚えていないと発言しています。
もちろん、やっていない・覚えていないのであればやったという必要はありませんが、この発言は容疑を否認していることになるため、逮捕後の勾留が長引いてしまう可能性があります。
勾留とは、逮捕後10日から20日間身体拘束を継続することを意味します。
勾留は住所が不定である場合の他、罪証隠滅および逃亡のおそれがある場合に付けられるものです。
被害者がいる事件で否認する場合に警察は、被疑者が釈放した際に被害者のもとに行き口封じを図るなどの罪証隠滅や、釈放後の取調べに出頭しなくなるといった可能性を考慮します。
そのため否認事件は勾留が付いたり、勾留が長期化したりする傾向にあります。
しかし、早期に弁護士に依頼し、罪証隠滅・逃亡の可能性はないと主張する身柄解放活動を行うことで、勾留の長期化を防ぐ、釈放を目指すといったことができます。
刑事事件で否認をする場合、速やかに弁護士に依頼することが重要です。
弁護士にご相談ください
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器物損壊事件を起こしてしまった方、またはご家族は器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご相談ください。
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【事例解説】他人から押しのけられて何度も殴り返した傷害事件、正当防衛は成立するのか
【事例解説】他人から押しのけられて何度も殴り返した傷害事件、正当防衛は成立するのか
傷害罪と正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県仙台市に住んでいる大学生のAさんは、スーパーのフードコートで食事をしていました。
店内が混みあっていたことから、同じく食事をしようと思っていたVさんが、Aさんの隣に座わりたいのでバッグをどけて欲しいとAさんにお願いしました。
気分を悪くしたAさんはVさんに文句を言って詰め寄り、Vさんは詰め寄ってきたAさんを「やめてくれ」と押しのけました。
そのことに怒ったAさんはVさん複数回殴りつけ、見かねた通行人がAさんを取り押さえ警察に通報し、駆け付けた仙台中央警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
Aさんは傷害罪となりましたが、「暴行されたから抵抗したのであって正当防衛だ」と主張しています。
(この参考事件はフィクションです。)
傷害罪
傷害罪は刑法に定められており、その内容は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」となっています(刑法第204条)。
この場合の「傷害」とは、他人の生命の生理的機能を毀損するものであるとされています。
そのため外傷を与えることは必須ではなく、眠らせる、気絶させることも「傷害」にあたるとされます。
病気にかからせることも含まれ、例えば精神的に追い込むことで精神障害を負わせた場合も、傷害罪は成立します。
正当防衛
Aさんは正当防衛を主張しています。
刑法第36条第1項には「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」と定められているため、正当防衛が認められれば違法性がなくなり、犯罪は成立しなくなります。
「急迫」とは法益侵害が現に存在している、間近に迫っていることを意味し、「不正」とは違法であることを意味します。
「自己又は他人の権利を防衛するため」とあるため、該当する行為は防衛の意思を持って行われている必要があります。
しかし、その機に乗じて加害する意思を持って防衛行為に及ぶと、急迫性がなくなり正当防衛になりません。
そして「やむを得ずにした行為」とあるため、防衛行為は社会的に見て必要かつ相当でなければなりません。
例えば、1回殴られたことに対し、凶器を持って複数殴り返す行為は相当性を欠くため正当防衛は成立しません。
なお、相当性は欠いているが他の要件は満たす、という場合は過剰防衛(刑法第36条第2項)が成立する可能性があります。
参考事件の場合、正当防衛は成立するでしょうか。
VさんはAさんに詰め寄られたため押し返していますが、VさんからAさんに対して「急迫不正の侵害」は存在しないと考えられます。
これらのことから、Aさんに正当防衛が成立する可能性は低いと言えます。
このように、正当防衛を主張する場合は各要件を満たしていることが必要であるため、刑事事件に詳しい専門家に客観的な証拠や事情を集めてもらうことが重要になります。
そのため正当防衛の成立を争う場合、弁護士に依頼し弁護活動を依頼することをお勧めします。
刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件(少年事件)を中心に取り扱っている法律事務所です。
当事務所は初回無料の法律相談の他、逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しております。
どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」で、年中無休24時間体制でお電話をお待ちしておりますので、傷害事件を起こしてしまった、傷害事件で正当防衛を争いたいといった際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご相談ください。
【事例解説】口論から発展した暴行事件、勾留が決定する際の条件と勾留された際の弁護活動について
【事例解説】口論から発展した暴行事件、勾留が決定する際の条件と勾留された際の弁護活動について
暴行罪(および傷害罪)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県本吉郡に住んでいる会社員のAさんは、飲み会の帰りに公園のベンチに倒れ込んでいました。
その様子を心配した通行人のVさんに「大丈夫ですか」と声をかけられ、気分の悪かったAさんは「大丈夫に見えるか」と言い返し、口論になりました。
AさんはVさんの胸を叩いたり、手を払いのけたりしていました。
その様子を見ていた通行人が「酔っ払いに絡まれている人がいる」と警察に通報していたため、南三陸警察署の警察官が現れました。
警察官が仲裁しましたが、AさんはVさんを突き飛ばすなどの行為を止めようとしなかったため、警察官はAさんを暴行罪の容疑で現行犯逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
暴行罪
暴行罪は、同じく刑法に定められた傷害罪の未遂形態を補足するような形になっています。
刑法第208条がその条文であり、内容は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」となっています。
この場合の暴行は、人の身体に対する有形力(物理力)の行使を意味しています。
典型的なものとして殴る、蹴るといった暴力があげられますが、暴行罪においては毒物、光、音、熱などの行使も暴行に含まれています。
これらは直接相手の身体に接触している必要まではありません。
例えば、おどかす目的で相手に対して当てるつもりなく石を投げ、相手の足元に石が落ちただけだった(接触しなかった)としても、暴行罪は成立することになります。
Aさんの場合、胸を叩く、手を払いのけるなどの行為は暴行であり、それによってVさんは負傷を負っていないため、暴行罪となりました。
暴行によって怪我などの結果が生まれると刑法第204条の傷害罪が成立します。
この条文は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定めており、暴行罪より重い刑罰が規定されています。
傷害とは人の生理機能を障害することを意味しています。
これには外傷を与えること以外に、失神させる、病気に罹患させることも含まれています。
被害者が存在する事件の弁護活動
参考事件のAさんは暴行罪の容疑で逮捕されています。
暴行罪は傷害致死罪などの重大な犯罪と比べれば軽微な犯罪ですが、事件の内容次第では逮捕後に勾留が付いてしまう可能性もあります。
勾留されてしまうと10日間、延長されるとさらに10日間の合計20日間身体拘束が続く恐れがあります。
勾留は住所が不定である場合、もしくは証拠隠滅や逃亡の恐れがある場合に付けられます。
そのため逮捕および勾留されてしまった場合、弁護士を通して前述の危険性がないことを主張し、長期の身体拘束を防ぐことが大切です。
効果的なのは被害者と示談を締結することですが、当事者同士での示談は拗れてしまう可能性もあります。
そのため逮捕、勾留されてしまった際は速やかに弁護士に相談し、示談交渉などの弁護活動を依頼することが重要です。
示談交渉の知識と経験が豊富な弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回無料の法律相談の他、逮捕および勾留された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスをご予約いただけます。
24時間お電話をお待ちしておりますので、暴行事件の当事者となってしまった、またはご家族が暴行罪の疑いで逮捕されてしまった際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご連絡ください。
【事例解説】SNS上で悪口を書き込みことで刑事事件化する可能性、名誉毀損罪と侮辱罪の違いとは。
【事例解説】SNS上で悪口を書き込みことで刑事事件化する可能性、名誉毀損罪と侮辱罪の違いとは。
名誉毀損罪と侮辱罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県富谷市に住んでいる大学生のAさんは、交際相手で会ったVさんと別れることになりました。
AさんはVさんへの怒りの感情から、SNS上でVさんの悪口を書き込みました。
Aさんの悪口を見たAさんは、Vさんに「警察に行くから」と言われました。
ネットで刑法などを調べ逮捕される不安に駆られたAさんは、宮城県内で行ける法律事務所を探すことにしました。
(この参考事件はフィクションです。)
名誉毀損罪
Aさんに適用される可能性のある罪として、名誉毀損罪が考えられます。
刑法230条第1項は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」と定めています。
この条文において「公然」は、一定数の人が知り得る状況を指し、SNSは不特定多数の人が利用していることから、「公然」であると考えられます。
「事実を適示」とは具体的な事実を示すことですが、この事実は真実である必要まではありません。
間違っている情報を意図的に広めることも、「事実を摘示」したと言えます。
そして「名誉の毀損」は他人の社会的評価を低下させることですが、これは社会的な評価が実際に下がったかどうかの判断が難しく、あくまでその危険性を持っているかどうかで「名誉の毀損」は判断されます。
後述する侮辱罪よりも罰金の額や拘禁刑の年数が多いのは、具体的な内容で社会的評価を下げるほうが、人の精神によりダメージを与えると考えられていることが原因です。
侮辱罪
また、侮辱罪もAさんに適用される可能性のある罪としてあげられます。
刑法231条は「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定めています。
名誉棄損罪同様、こちらも「公然」と行われている必要がありますが、「事実を摘示」する必要はありません。
ここで言う「侮辱」は、他人の社会的価値や尊厳を軽視する行為を指し、抽象的な表現であっても該当する可能性があります。
親告罪
刑法第232条には「この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」とあり、この章とは刑法第230条から第232条を定めた「名誉に対する罪」の章です。
そのため名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪となり、検察官は被害者による告訴がなければ起訴ができません。
そのため名誉毀損罪と侮辱罪において、告訴の取り消しと被害届の取下げは極めて重要です。
事件を不起訴処分で終わらせるためにも、速やかに弁護士に相談し、示談交渉などの弁護活動を依頼することが大切です。
SNS上の事件は弁護士にご相談ください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所では初回の法律相談を無料でご利用いただくことができます。
逮捕または勾留された方には、直接弁護士が留置所などに伺う初回接見サービスも実施しております。
どちらのご予約も24時間365日受け付けておりますので、名誉毀損罪や侮辱罪で事件を起こしてしまった際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、お気軽にご相談ください。