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【事例解説】未成年者に同意を得てわいせつな行為をしても、適用される不同意わいせつ罪について

2024-12-10

【事例解説】未成年者に同意を得てわいせつな行為をしても、適用される不同意わいせつ罪について

不同意わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県気仙沼市に住んでいる大学生のAさんは、中学生であるVさんと付き合っていました。
Vさんは彼氏がいることは家族に話していましたが、Aさんが5歳以上年上の成人男性だったことは話していませんでした。
VさんがAさんの自宅に遊びに来た際、AさんはVさんにキスや股間を触ることを要求し、Vさんは言われたとおりにしました。
その後、Vさんの家族がAさんの年齢とVさんにしたことを知りました。
怒ったVさんの家族は警察に行き、被害届を提出しました。
そしてAさんは不同意わいせつ罪の容疑で気仙沼警察署に逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意わいせつ事件

参考事件では、刑法不同意わいせつ罪が適用されています。
不同意わいせつ罪は、条文に定められた特定の行為により、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者」に適用されます。
しかし、AさんはVさんにお願いし、Vさんも応じているため不同意ではありません。
同意があるのに不同意わいせつ罪が適用されていますが、これは2人の年齢に理由があります。
刑法第176条第3項は「16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。」と定めています。
この条文にはわいせつな行為について同意と不同意の記載がありません。
そのため、16歳未満である中学生のVさんに、Vさんより5歳以上年上のAさんがわいせつな行為をさせたことで、不同意わいせつ罪が適用されました。
条文には「第1項と同様とする。」とあるため、同条第1項不同意わいせつ罪に定められた「6月以上10年以下の拘禁刑」が刑罰として科せられます。

長期の身体拘束

警察に逮捕されてしまうと、身体拘束され、取調べを受けることになります。
そして逮捕から48時間以内に、警察は事件を検察に送致するかを決めます。
検察に送致されると、検察は24時間以内に裁判所に勾留請求するかを決めます。
勾留とは逮捕期間の延長とも言えるもので、勾留請求され裁判官が勾留を認めると、10日間、場合によってはさらに追加で10日間は身体拘束が続きます。
つまり逮捕されると、23日間もの間身体拘束される可能性があります。
この間は外部への連絡も自由にできないため、学校や仕事も無断で休むことになってしまいます。
早期の釈放を目指すためには弁護士に依頼し、勾留阻止のための書面を提出する、身元引受人を立てるなどのことが必要です。
また、勾留前の身体拘束の間は家族であっても面会することができません。
しかし弁護士であれば面会することができるので、伝言を弁護士に頼み、家族などを通して職場や学校に連絡することができます。
身体拘束を受けている場合は、まずは弁護士に相談することが重要です。

不同意わいせつ罪に詳しい法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件と少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回であれば無料の法律相談逮捕されてしまった方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスをご予約いただけます。
どちらも土、日、祝日含め、24時間対応可能ですので、不同意わいせつ事件を起こしてしまった、不同意わいせつ罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご連絡ください。

【事例解説】近所のスーパーでおにぎりやジュースを万引き、逮捕されずに捜査が進む在宅事件

2024-12-07

【事例解説】近所のスーパーでおにぎりやジュースを万引き、逮捕されずに捜査が進む在宅事件

窃盗罪と在宅事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

宮城県黒川郡に住んでいる大学生のAさんは、家賃などの支払いで生活が厳しい状態でした。
Aさんは近所のスーパーに行った際、おにぎりを1個万引きしました。
その後、その時の万引きがバレていないと思ったAさんは、またそのスーパーに行った際にジュースを万引きしようとしました。
しかし店を出る際に店員に止められました。
店側には最初の万引きが既にバレていて、Aさんはマークされていました。
そしてスーパーに警察官が来て、Aさんは窃盗罪の容疑で後ほど大和警察署に呼び出されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

万引き事件

万引き刑法などに定められている言葉ではなく、店に並ぶ商品を支払いせずに持ち出すことの総称です。
万引き窃盗罪の一種であるため、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められた刑法第235条が適用されます。
窃取」とは、財物の占有(物に対しての支配・管理を意味)をその財物の占有者の意思に反して、自己・第三者にその占有を移すことを言います。
また、経済的・主観的に価値が認められないような物を除き、所有権の対象となる有体物は「財物」に該当します。
ただし、刑法第245条には「この章の罪については、電気は、財物とみなす。」とあるため、「第36章 窃盗及び強盗の罪」において有体物でない電気も財物として扱われます。
そのため、店頭に並んでいる商品を窃取する万引き事件を起こしたAさんには、窃盗罪が成立しました。

在宅事件

Aさんは警察署に後日呼ばれることになり、逮捕はされませんでした。
刑事事件となれば必ず逮捕されるわけではなく、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。」と定められた刑事訴訟法199条2項の規定により、身体拘束の必要性がなければ逮捕にはなりません。
このような身体拘束をせずに捜査が進む事件を、在宅事件と言います。
在宅事件の場合、警察は取調べを行う際、警察署に被疑者(犯人・加害者)を呼び出します。
警察から後日呼ぶと言われた場合、早ければ数日後に警察署に呼ばれ、取調べを受けることになります。
取調べ時の発言は証拠にもなるため、適切な対応をするためにも事前に専門家に相談しておくことがお勧めです。
逮捕されない在宅事件であっても気を抜かず、刑事事件を起こしまった場合はすぐに弁護士に相談し、アドバイスを受けましょう。

万引き事件に詳しい法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門的に扱っている法律事務所です。
当事務所の法律相談は、初回であれば無料でご利用いただけます。
また、逮捕されてしまった方には、留置施設まで直接弁護士が面会に伺う初回接見サービスをご提供しております。
どちらも24時間体制で、フリーダイヤル「0120-631-881」からご予約いただけます。
万引き事件を起こしてしまった方、ご家族が窃盗罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご相談ください。

【事例解説】家族がいる自宅に火を付けて現住建造物等放火罪、重大な犯罪で開かれる裁判員裁判

2024-12-04

【事例解説】家族がいる自宅に火を付けて現住建造物等放火罪、重大な犯罪で開かれる裁判員裁判

現住建造物等放火罪と裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県富谷市に住んでいる大学生のAさんは、同じ家で暮らすお兄さんと喧嘩をしていました。
怒ったAさんはお兄さんが持っていた本に火を付けました。
すると炎はカーテンに燃え移り、壁にも延焼して燃え続けました。
炎に気付いたAさんの家族は消防車を呼び、その後しばらくして消化されました。
そしてAさんが火を付けたことが分かると、大和警察署の警察官はAさんを現住建造物等放火罪の疑いで逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)

放火事件

放火事件は重大な犯罪で、特に現住建造物等放火罪刑法に定められた他の放火の罪よりも刑罰が重く、裁判員裁判が開かれるものになっています。
刑法第108条に「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」とあり、これが現住建造物等放火罪の条文です。
ここで言う「住居」とは、人が起臥寝食の場所として使用している、日常生活を営むための建物を意味しています。
建造物(屋根があり、壁や柱に支持され、土地に固定された家屋やその他建築物)」に放火を行った場合、放火した人物以外の人が建物内にいると現住建造物等放火罪が成立します。
しかし、条文には「現に人が住居に使用し」とあるため、住居の場合は話が変わります。
住居に対して放火する場合、住居として使用されている場所であれば現に人がいなくとも、現住建造物等放火罪となります。
焼損」とは、火が建造物に燃え移り、火が独立して燃焼を継続している状態を意味します。
そのためAさんのように本に火を付けても、住居に燃え移らなかった場合は現住建造物等放火罪にはなりません(建造物等以外放火罪が成立する可能性はあります)。
参考事件の場合、Aさんは家族と住んでいる住居で本に放火したことが原因で、火が燃え移り住居の壁を焼損させているので、現住建造物等放火罪が適用されました。

裁判員裁判対象事件

裁判員裁判が開かれる事件の条件の1つには、「死刑若しくは無期の懲役又は禁錮に当たる罪」があります。
そのため現住建造物等放火罪では裁判員裁判が開かれます。
裁判員裁判は無作為に選ばれた国民が裁判員となって、裁判官と一緒に裁判に参加します。
法律に詳しくない人も参加するため、通常の裁判とは異なる形式がとられます。
裁判前に事件の争点を明確にする公判前整理手続をとったり、公平な裁判にするため裁判員候補者の選任手続きに弁護士が立ち会ったりします。
このような通常の裁判では行わない、裁判員裁判の時だけ行われる手続きも多いため、裁判員裁判の際には、裁判員裁判制度に詳しい弁護士に弁護活動を依頼することがお勧めです。

裁判員裁判に強い法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件、少年事件を中心に扱っている法律事務所です。
当事務所は初回であれば無料でご利用いただける法律相談や、逮捕、勾留された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスを実施しています。
どちらのご予約も、24時間365日受け付けております。
放火事件の当事者となってしまった方、ご家族が現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部のフリーダイヤル「0120-631-881」へ、是非、ご連絡ください。

【事例解説】車で人に接触したにも関わらず、被害者の救護も警察への報告もせず逃げたひき逃げ事件

2024-12-01

【事例解説】車で人に接触したにも関わらず、被害者の救護も警察への報告もせず逃げたひき逃げ事件

ひき逃げの道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県牡鹿郡に住んでいる会社員のAさんは、車で旅行していました。
Aさんはその旅行の帰り道に、通行人にぶつかってしまいました。
事件を起こしたことで怖くなったAさんは、そのまま現場から逃走しました。
その後、事件は警察に通報され、石巻警察署の捜査で防犯カメラの映像などから、Aさんの身元が判明しました。
しばらくして、Aさんの自宅に警察官が訪れ、Aさんは道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

ひき逃げ事件

道路交通法には「ひき逃げ」という表現はなく、これはメディアなどで使われる俗称になります。
道路交通法第72条に違反した場合がひき逃げと呼ばれ、罪名としては道路交通法違反が正しい表現です。
この条文には「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第75条の23第1項及び第3項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。」とあります。
負傷者の救護などを怠った場合を救護義務違反と言い、警察官への報告を怠った場合を報告義務違反と言います。
交通事故があった時にこれらを行わないと、いわゆるひき逃げとなり、道路交通法違反が成立します。
罰則に関しては、道路交通法第117条第2項の規定により救護義務違反が「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、道路交通法第119条第1項第17号の規定により報告義務違反は「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」となります。

示談

ひき逃げ事件は必ず被害者がいる事件であるため、重要なのは示談交渉をすることです。
示談の締結は減刑に効果的で、公判請求を避けることにもつながります。
被害者との示談交渉を考えの際は弁護士に相談しましょう。
示談交渉は保険会社に任せることもできますが、保険会社は弁護士と違い、刑事処罰を軽くする目的で示談交渉は行いません。
そのため裁判の回避、減刑を目指す際は弁護士への依頼をお勧めします。

ひき逃げ事件に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
初回無料の法律相談や、逮捕、勾留中の方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスを、当事務所では実施しています。
ご予約は土、日、祝日も含めた年中無休で承っておりますので、ひき逃げ事件を起こしてしまった方、ご家族が道路交通法違反の容疑で逮捕、勾留されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へご相談ください。
フリーダイヤル「0120-631-881」にて、ご連絡をお待ちしております。

【事例解説】口喧嘩になった相手を殴って傷害罪、逮捕後の身体拘束と釈放のために必要なこと

2024-11-28

【事例解説】口喧嘩になった相手を殴って傷害罪、逮捕後の身体拘束と釈放のために必要なこと

傷害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県東松島市に住んでいる大学生のAさんは、飲食店内でVさんからジッと見られていると感じて文句を言いました。
Vさんは「見るわけがないだろ」と言いましたが、Aさんはバカにされていると思ってVさんを殴り、怪我を負わせました。
それを見た店員がすぐに割って入って2人を止めましたが、このままだと大事になると判断した別の店員が警察を呼びました。
ほどなくして石巻警察署から警察官が現れ、Aさんを傷害罪の容疑で逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)

傷害罪

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と、傷害罪刑法第204条に定められています。
刑法での「傷害」とは、人の生理的機能に障害を生じさせること、健康状態をひろく不良に変更させることを意味します。
外傷を負わせることは典型的な傷害ですが、傷害は怪我に限定されるものではありません。
脅迫などをしたことでノイローゼやPTSDになった場合、精神的な疾患を生じさせたとして傷害罪が成立する可能性があります。
また、人の意識に障害を与える行為も傷害に該当するため、睡眠薬を使って他人を眠らせても傷害罪は成立します。
その他、めまい、嘔吐、失神も、傷害の範囲です。
AさんはVさんを殴っており、その結果Vさんは怪我をしました。
そのため参考事件は典型的な傷害事件と言えます。

逮捕後の流れ

警察に逮捕されると、警察署で取調べを受けることになります。
そして警察は取調べしながら、事件を検察に送致するかを48時間以内に決定します。
事件が検察へ送致されると、検察は24時間以内に裁判所に勾留請求をするかを決定します。
勾留を裁判所が認めれば、10日間は身体拘束が続くことになります。
この勾留は延長することができ、追加でさらに10日間勾留されることも考えられます。
つまり、逮捕されると身体拘束され連日取調べを受ける日々が、最大で23日間は続くことになります。
証拠隠滅や逃亡の危険があると判断されると勾留され、当然この期間は出勤や通学も出来なくなります。
そのため身体拘束を避けるには弁護士を通じてそれらの危険がない、家族が監督するといった主張をすることが必要になります。
すぐに釈放にならなくとも、弁護士がいれば面会の際に伝言を預り、家族に伝え会社や学校へ連絡してもらうことができます。
ご家族が身体拘束されてしまった場合は、まずは弁護士に相談し、弁護活動を依頼しましょう。

まずは弁護士に相談しましょう

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っています。
当事務所ではフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談逮捕または勾留された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスをご利用いただけます。
24時間365日、ご予約を受け付けておりますので、傷害事件を起こしてしまった、ご家族が傷害罪の容疑で逮捕、勾留されてしまった、そんな時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご相談ください。

【事例解説】インターネットバンキングを利用した詐欺事件、機械を騙す電子計算機使用詐欺罪

2024-11-25

【事例解説】インターネットバンキングを利用した詐欺事件、機械を騙す電子計算機使用詐欺罪

詐欺罪と電子計算機使用詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県石巻市に住んでいる会社員のAさんは、自社が契約する銀行のインターネットバンキングを利用して、虚偽の給与・賞与を会社の口座から自身の口座に入金していました。
何年かして、会社側がお金の動きがおかしいことに気付き、警察に相談していました。
そして、Aさんが不正に会社の口座からお金を送金していたことが発覚しました。
Aさんは石巻警察署電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

詐欺罪

電子計算機使用詐欺罪は、詐欺罪の一種ではありますが、刑法では詐欺罪と別の条文に定められています。
まず刑法第246条は、第1項に「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」、第2項に「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と、それぞれ財物を対象にした詐欺罪と財産上の利益(サービスや債権)を対象にした詐欺罪が定められています。
詐欺罪は一定の要件が連鎖することが罪の成立に必要で、最初に、欺く行為によって被害者の判断基準に間違いが生まれ、被害者が錯誤(勘違い・思い違い)に陥る必要があります。
そしてその錯誤した情報に基づいて被害者が行動し、結果として欺いた本人・第三者が財物か財産上の利益を得ることで詐欺罪は成立します。
しかし、この条文には「人を欺いて」とあることから、人に嘘を吐いていることが必要であり、機械類を騙しても詐欺罪は適用することができませんでした。
そのため、サイバー犯罪などの詐欺罪が対応できない詐欺事件への対策として、1987年に新設されたのが、電子計算機使用詐欺罪です。

電子計算機使用詐欺罪

刑法第246条の2には「前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。」とあり、これが電子計算機使用詐欺罪の条文です。
虚偽の情報」とは、電子計算機で行う予定の事務処理の目的に照らし、真実に反する情報であり、「不正な指令」は事務処理の場面で、本来与えられるべきではない指令を意味します。
参考事件の場合、会社が契約している事務処理に使用するインターネットバンキングを利用して、本来は無い給与・賞与という虚偽の情報を与えて、Aさんは財産上の利益を不法に得ています。
人を欺いて」いるわけではないため、Aさんは詐欺罪ではなく電子計算機使用詐欺罪が適用されます。
このように詐欺事件でも一般的には馴染みのない罪が適用されることがあり、自身の置かれた状況を把握するためには法的な知識が必要です。
これらの知識は減刑や執行猶予を目指す際にも必須であるため、まずは弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

詐欺事件に詳しい法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所は、初回無料の法律相談の他、逮捕・勾留された方のもとに弁護士が直接面会に伺う初回接見サービスを実施しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」にて、土、日、祝日も24時間、ご予約を受け付けております。
詐欺事件の当事者となってしまった、もしくは、ご家族が電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご相談ください。

【事例解説】会社の地位を利用して不同意わいせつ罪、強制わいせつ罪から拡大した成立の範囲

2024-11-21

【事例解説】会社の地位を利用して不同意わいせつ罪、強制わいせつ罪から拡大した成立の範囲

不同意わいせつ罪と示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県牡鹿郡に住んでいる会社員のAさんは、同じ会社に勤める部下の女性Vさんからミスをしたと報告を受けました。
Aさんは「お願いを聞いてくれれば、上に報告しない。」と言って、Vさんにキスをしたり胸を触ったりしました。
その後Vさんは警察に性被害を受けたと相談し、被害届を提出しました。
そしてAさんは石巻警察署不同意わいせつ罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

不同意わいせつ罪

以前刑法に定められていた強制わいせつ罪は、不同意わいせつ罪に変更され適用の範囲がより広くなりました。
刑法第176条第1項不同意わいせつ罪の条文で、「次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。」と定められています。
次に掲げる」項目は、従来の強制わいせつ罪の要素である暴行若しくは脅迫を用いることに加え、虐待に起因する心理的反応を生じさせる、予想と異なる事態に直面させ恐怖・驚愕させるなど全部で8つあります。
参考事件の場合、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」と定められた同項第8号が適用される可能性があります。
上司の立場であるAさんは、部下であるVさんに対して地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させ、同意しない意思の表明を困難にさせた上でわいせつな行為をしています。
このことから、Aさんには不同意わいせつ罪が成立すると考えられます。

示談交渉

不同意わいせつ罪は被害者がいる事件であるため、弁護活動には示談交渉が考えられます。
示談を締結できれば減刑はもちろん、不起訴処分の獲得も視野に入ります。
しかし、性犯罪の被害者の場合、恐怖や怒りの感情から示談交渉を拒否されるケースも多くなります。
また、被害者が知人の関係にある場合、被害者に接触して口止めするなどの可能性を考え、逮捕後の勾留が長引き、連絡をとることが出来なくなってしまう懸念もあります。
そのためこのような事件の際は、代理人である弁護士を立て、弁護士限りで被害者と連絡を取ることが、示談を締結するために重要になります。
不同意わいせつ事件示談交渉をお考えの方は、刑事事件に詳しい弁護士に弁護活動を依頼しましょう。

不同意わいせつ罪に詳しい法律事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料の法律相談逮捕・勾留中の方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を承っております。
どちらも24時間・365日、ご予約を受け付けております。
不同意わいせつ罪で事件を起こしてしまった方、またはご家族が不同意わいせつ罪の容疑で逮捕・勾留されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご連絡ください。

【事例解説】覚醒剤を複数回使用したことで覚醒剤取締法違反、2個以上の犯罪が同時に成立する場合

2024-11-18

【事例解説】覚醒剤を複数回使用したことで覚醒剤取締法違反、2個以上の犯罪が同時に成立する場合

覚醒剤取締法違反と併合罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県黒川郡に住んでいる会社員のAさんは、複数回にわたり覚醒剤を使用していました。
Aさんが外を歩いていると、警察官に止められ職務質問を受けることになりました。
警察官はAさんの様子が変だと思っており、簡易検査キットを用いて尿検査をするようAさんに言いました。
そしてAさんが検査をした結果、覚醒剤の反応が出ました。
Aさんはその場で覚醒剤取締法違反となり、大和警察署に逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)

覚醒剤取締法違反

覚醒剤取締法が定める「覚醒剤」とは、フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類を指しています(覚醒剤取締法第2条1項1号)。
覚醒剤取締法第19条において、覚醒剤の製造業者や研究者などを除いては「何人も、覚醒剤を使用してはならない。」と定められています。
この使用とは、覚醒剤をその用法に従って用いる一切の行為を言います。
自分で自分の身体へ使用することはもちろん、他人に頼んで自己に使用させる場合、鶏や豚などの家畜への使用や研究、薬品の製造のため使用する場合も含まれます。
Aさんの場合、複数回にわたって使用しているため、覚醒剤取締法違反になります。
また、複数回使用しているということは、Aさんは覚醒剤を所持していたことなります。
覚醒剤取締法第14条第1項には「覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない。」と定められています。
そのためAさんはこの条文にも違反し、覚醒剤取締法違反になります。
覚醒剤を使用した場合の刑罰は「10年以下の懲役覚醒剤取締法41条の3第1項第1号)」であり、覚醒剤を所持した場合の刑罰も「10年以下の懲役覚醒剤取締法41条の2第1項)」です。

併合罪

覚醒剤の所持と使用は同じ覚醒剤取締法違反ですが、条文も違うためそれぞれの覚醒剤取締法違反が別々に成立します。
このように、確定裁判を経ていない2個以上の犯罪が成立する場合を併合罪と言います。
この場合、「併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。」と定められた刑法第47条に則って、刑罰は決められます。
参考事件の場合、使用と所持の覚醒剤取締法違反はどちらも「10年以下の懲役」であるため、10年に2分の1を加えた15年以下の懲役がAさんの刑罰となります。
覚醒剤取締法違反はこのように非常に厳しい刑罰が下されるだけでなく、併合罪のように馴染みのない手続きがとられることもあります。
覚醒剤取締法違反となってしまった、または心当たりがある場合、まずは弁護士に相談し、自身の置かれた状況は正しく把握することが重要です。

覚醒剤取締法違反に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件と少年事件を専門的に扱っている法律事務所です。
当事務所では、初回であれば無料の法律相談逮捕されている方のもとに直接弁護士が赴く初回接見サービスを実施しております。
どちらのご予約も24時間対応可能ですので、覚醒剤取締法違反で刑事事件化してしまった方、または覚醒剤取締法違反となりご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へご連絡ください。
フリーダイヤル「0120-631-881」にて、お電話をお待ちしております。

【事例解説】最高速度を超えたスピードで運転し交通事故、危険運転致傷罪となる運転について

2024-11-15

【事例解説】最高速度を超えたスピードで運転し交通事故、危険運転致傷罪となる運転について

危険運転致傷罪と示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県富谷市に住んでいる大学生のAさんは、最高速度が60キロの道路をその速度を大きく超えたスピードを出して運転していました。
その状態で湾曲した道路に差し掛かり、ハンドルを上手く切ることができずに、対向車線を走っていたVさんの車両に接触していました。
そしてVさんは怪我を負ってしまい、近くにいた通行人が事故のことを警察に通報しました。
ほどなくして大和警察署の警察官が現場に駆け付け、Aさんは危険運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

危険運転致傷罪

悪質かつ危険な一定の運転行為を取り締まる法律が、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、自動車運転処罰法と呼びます。)です。
自動車運転処罰法第2条に「次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。」とあり、これが参考事件に適用された危険運転致傷罪(および危険運転致死罪)の条文です。
次に掲げる行為」は8つあり、その内容は飲酒運転に関するものや信号無視に関する物など様々です。
Aさんに適用されたのは第2号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」です。
この条文には具体的に何キロ以上と言った規定はされていませんが、判例によれば、「速度が速すぎるため自動車を道路の状況に応じて進行させることが困難な速度をいい、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の形状、路面の状況などの道路の状況、車両の構造、性能等の客観的事実に照らし、あるいは、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって、自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになるような速度をいうと解される。」としています(東京高等裁判所判決平成22年12月10日)。
Aさんの場合、最高速度を超えたスピードを出し、結果ハンドルを切ることができずに事故を起こしているため、「進行を制御することが困難な高速度」で車を運転したと判断できます。
そしてこの行為によってVさんは怪我を負っているため、Aさんには危険運転致傷罪が成立します。

示談交渉

危険運転致傷罪は交通事件の中でも罪が重く、罰金で済ませることはできません。
実刑を防ぐためには執行猶予を獲得する必要がありますが、その際に重要なのは示談交渉です。
しかし、参考事件のように悪質な運転によって負傷した被害者は、怒りから処罰感情が強くなり、示談交渉が上手くいかない可能性も考えられます。
スムーズに示談を締結するためには、法の専門家である弁護士を間に入れて示談交渉を進めることがお勧めです。
交通事件を起こしてしまったため、速やかに被害者と示談を締結したいとお考えの方は、刑事事件に詳しい弁護士に示談交渉の依頼をしましょう。

交通事件に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件を含む刑事事件、少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回無料の法律相談の他、逮捕、勾留されている方のもとに弁護士が直接面会に伺う初回接見サービスのご予約を受け付けています。
フリーダイヤルは24時間体制で、土、日、祝日も対応可能です。
交通事件での示談交渉をお考えの方、または危険運転致傷罪の容疑でご家族が逮捕、勾留されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご連絡ください。

【お客様の声】傷害事件で勾留を阻止し、被害者との示談で不起訴処分

2024-11-12

【お客様の声】傷害事件で勾留を阻止し、被害者との示談で不起訴処分

酔っ払って妻を殴ってしまった傷害事件で、勾留を阻止し、被害者との示談で不起訴処分となった弁護活動とお客様の声を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が紹介します。

事件概要

依頼者のお兄さん(40代男性、前科・前歴なし)は、酔っ払って妻と喧嘩になり、殴って怪我をさせてしまったことで、警察から逮捕されていました。
依頼を受けた弁護士はすぐに意見書を検察に提出し、被疑者(捜査対象の加害者)は釈放されました。
次に示談交渉のため被害者に連絡したところ、被害者は弁護士を立てており、示談交渉は弁護士同士で行うことになりました。
最終的に双方納得のいく形で示談は締結され、事件は不起訴処分となって終了しました。

結果

勾留阻止
不起訴処分

事件経過と弁護活動

初回接見の報告を受けて被疑者の事情を知った依頼者は、当事務所とすぐに契約をしました。
依頼を受けた弁護士はすぐさま依頼者から被疑者の事情を聞き、意見書を作成しました。
そして依頼を受けた翌日の早朝に意見書を検察に提出し、その日の午前中に被疑者は釈放されることになりました。
そして弁護士は被害者に連絡を取り示談交渉を行うことになりましたが、被害者も弁護士を立てていました。
そのため示談交渉は難航することが予想されましたが、示談は双方合意の上で締結されました。
弁護士は示談が締結したことを検察に伝え、ほどなくして検察は不起訴処分を決定しました。
勾留が付いてもおかしくない事件でしたが、早期の弁護活動によって勾留阻止となり、難航が予想された示談交渉も無事にまとまりました。
最終的に不起訴処分を獲得することができ、大変喜ばしい結果を得られた事件でした。

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