ゴールデンウイーク中に逮捕された方の早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
◇事件◇
会社員のAさんは、ゴールデンウィーク中に、実家に帰省し親戚と一緒にお酒を飲みました。
飲酒後に2時間ほど仮眠をとって、実家から車で約1時間の仙台市の自宅に車を運転して帰っている途中、居眠り運転をしてしまったAさんは、反対車線に飛び出してしまい、対向車と接触する交通事故を起こしていしまいました。
そしてAさんは、通報によって駆けつけた宮城県泉警察署の警察官に、酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、一日でも早く釈放が認められるように、弁護士事務所に警察署への初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
飲酒運転~酒気帯び運転~
今回の事件でAさんは酒気帯び運転の疑いで逮捕されていますが、飲酒後の運転の禁止を定めているのは道路交通法です。
道路交通法第65条第1項は「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と規定しています。
罰則については「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされています(同法第117条の2の2第3号)。
酒気帯び運転に該当するかは、通常、警察官による呼気検査で一定以上の数値が示されたかによって判断されます。
また、歩行や会話能力等によって検査が行われた結果によっては、より重い酒酔い運転として処罰される可能性もあります。
酒酔い運転に該当する場合、罰則は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」となります(同法第117条の2第1号)。
~飲酒運転で交通事故を起こすと~
酒気帯び運転にとどまる場合、逮捕はされずに、必要な時のみ警察署に呼び出されて取調べを受ける、在宅捜査として事件が進んでいくこともあります。
もっとも、Aさんのように、飲酒運転をしたうえで事故を起こしてしまった場合、飲酒検知の後に、現行犯逮捕されてしまうことも少なくありません。
人身事故に至らず、車両同士の物損事故のみであった場合も、逮捕されてしまうおそれがあるので注意しなければなりません。
また、人身事故になってしまった場合、酒気帯び運転とは別に、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律、いわゆる自動車運転処罰法が定める過失運転致傷罪にも問われることになります。
過失運転致傷罪が成立する場合、罰則としては「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する」と規定されています(同法第5条)。
早期釈放
ひとたび逮捕されてしまうと、通常は警察署内の留置所に拘束され、家族を含め、外部への連絡が自由にできなくなります。
これだけでも大きな負担となりますが、より気をつけなければいけないのは、逮捕後に勾留決定がされてしまうことです。
勾留決定とは、逮捕に引き続いて留置所での身体拘束を継続することを指します。
勾留は検察官及び裁判官が関与して判断されますが、いったん勾留が決定してしまうと、一律で10日もの間、身体拘束が継続してしまいます。
弁護士による弁護活動によって身体拘束の期間が短縮することもありますが、特にそのような対応を行わない場合、通常は10日間(最長で20日間)身体拘束が継続することになります。
勾留される前に釈放される可能性を高めるには、勾留決定が判断される前に、検察官、裁判官に有利な証拠を提出する必要があるため、逮捕直後に弁護士を依頼しているかどうかが大きなポイントとなります。
とりわけ、酒気帯び運転の場合は、「酔っていてよく覚えていない」といった具合に曖昧な供述を警察官や検察官に行うことで、事実を争っていると解釈され、勾留が決定する可能性が高くなります。
検察官や裁判官に誤解されないためにも、逮捕直後に弁護士の接見(面会)を受けて、適切な取調べ対応のアドバイスを受けることが重要です。