証拠隠滅で逮捕
宮城県東松島市に住むAさんの下に、高校時代の先輩であるBさんから連絡が入りました。
「警察に追われている。助けてほしい」
突然の連絡に驚いたAさんでしたが、とりあえず自宅に来てもらうことに。
Aさんの家に到着したBさんは、
「数人で窃盗をやったんだが、仲間がパクられた。かくまってほしい」
と言いました。
警察に通報した方がいいと思いつつ、お世話になったBさんの役に立ちたいとの思いも捨てきれないAさん。
自宅でかくまうことはできなかったので、逃走資金を渡すとともに、Bさんが窃盗仲間との連絡に使っていた携帯電話を預かり、破壊しました。
後日、Bさんが逮捕され、その後Aさんも石巻警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~犯人隠避罪~
AさんがBさんに逃走資金を援助した行為には、犯人隠避罪(はんにんいんぴざい)が成立するでしょう。
刑法103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
この条文の中の「蔵匿」(ぞうとく)とは、逮捕・発見を免れさせるために場所を提供してかくまうことをいいます。
一方、「隠避」とは、蔵匿以外の方法により逮捕・発見を妨げる全ての行為をいいます。
Aさんが自宅にBさんをかくまっていれば犯人蔵匿罪が成立したでしょう。
しかしAさんは逃走資金の援助という、かくまう以外の方法でBさんの逮捕を妨げる行為をしているので、犯人隠避罪が成立します。
~証拠隠滅罪~
次に、AさんがBさんの携帯電話を破壊した行為には、証拠隠滅罪が成立する可能性があります。
第104条
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
Bさんが窃盗仲間との連絡に使っていた携帯電話は、Bさんが犯人であることを裏付けたり、共犯者を探したり、犯行の打合せ内容などを調べる上で重要な証拠となります。
したがってAさんの行為は、「他人の刑事事件に関する証拠を隠滅」したとして、証拠隠滅罪が成立するでしょう。
~AさんがBさんの家族だったら~
仮にAさんがBさんの親族だった場合、Aさんは刑罰を受けずに済む可能性があります。
第105条
前二条の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。
犯人の親族が、犯人がかわいそうで犯人蔵匿・隠避罪や証拠隠滅罪を犯してしまうのも理解できなくはありません。
そこで105条により、懲役や罰金が免除される可能性があります。
もちろん必ず免除されるというわけではなく、犯人蔵匿・隠避や証拠隠滅をした詳しい理由や、実際に行った蔵匿・隠避・隠滅の方法などを考慮した上で、免除される可能性があるということになります。
ちなみに免除されても、前科が付くことに変わりはありません。
~弁護士にご相談を~
逮捕されたAさんに対しては、下記ページ記載の刑事手続が進んでいきます。
刑事事件の流れ
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
弁護士としては、早期釈放を実現させ、不起訴処分、罰金、執行猶予などの軽い処分や判決を目指して弁護活動をしていくことになります。
しかし、逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか、刑罰はどれくらいになるのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、既に釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたしますので、犯人隠避罪や証拠隠滅罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。