子供への殺人未遂で逮捕

子供への殺人未遂で逮捕

仙台市青葉区に住むAさんは、2歳の子供とアパートに暮らすシングルマザー。
生活が苦しく、育児にも疲れ切っていました。
「もうこの子を育てていくことは出来ない。死んでしまっても仕方ない。」
冷静な判断が出来なくなったAさんは、子供を1人アパートに置いて出て行ってしまいました。
置き去りにされた子供は深夜に泣き叫び、不審に思った近隣住民が通報。
駆けつけた警察官によって保護されました。
知人の家に身を寄せていたAさんは、仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~成立しうる犯罪~

Aさんが子供置き去りにした行為には、殺人未遂罪保護責任者遺棄罪、保護責任者遺棄致傷罪のいずれかが成立する可能性があります。

刑法第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条(未遂罪)
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条(遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

Aさんは、子供が死んでもいいと思っており、殺人の故意も認められるので、もし子供が亡くなっていれば殺人罪が成立した可能性もあります。
しかし今回は子供が亡くなっていないので、殺人未遂罪が成立しうるにとどまります。

また、子供が早い段階で保護された場合には、子供の健康状態から見て死亡する危険が未だ発生していないとして、殺人未遂罪も成立しないということもありえます。
結果が発生する危険が生じて初めて犯罪が成立する、という考え方があるからです。
その場合には、保護責任者遺棄罪が成立する可能性があります。
あるいは、命に別条がない程度ではあるが、軽い脱水症状が生じていたような場合には、保護責任者遺棄致傷罪が成立することも考えられます。

なお、保護責任者遺棄致傷罪の法定刑は、保護責任者遺棄罪と傷害罪の法定刑を比較して、上限も下限も重い方となります。
具体的には、3カ月以上15年以下の懲役となります。

~今後の刑事手続きの流れと弁護活動~

逮捕されたAさんは、まずは最大3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして判決が確定すれば、刑罰を受けることになります。

これらの手続に関し弁護士は、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを具体的事実に基づいて主張して釈放を目指したり、子供の父親や行政の支援を受けられなかった不運や本人が反省していることなどを主張して、判決が過度に重くならないよう弁護活動を行います。

~弁護士に相談を~

犯罪をして逮捕された場合、今回どのような罪が成立するのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、身体拘束されていない場合は、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などに対してお答えいたします。

殺人未遂罪や保護責任者遺棄(致傷)罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。

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