暴力団員に債権回収を依頼して逮捕
宮城県涌谷町に住むAさんは、1年前、知人Vさんに20万円を貸しました。
ところがVさんは、返済期限を過ぎても返済してくれませんでした。
AさんはVさんに何度も返済を迫りましたが、返してくれません。
Aさんは、知り合いの暴力団員Bさんに債権回収を依頼しました。
暴力団員Bさんが入ったことにより恐怖を感じたVさんは、交渉の結果、20万円の元本の他、暴力団員Bさんへの報酬としてさらに20万円を支払いました。
その後、その知人は警察に相談。
Bさんは遠田警察署に逮捕されました。
(フィクションです)
~弁護士法・刑法違反~
まずは暴力団員Bさんに成立する犯罪を確認しましょう。
Bさんは弁護士や認定司法書士ではないため、他人の法的紛争に介入した時点で弁護士法違反となる可能性があります。
弁護士法
第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第77条
次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
第1号・第2号 省略
第3号 第七十二条の規定に違反した者
法律家以外の者が紛争に介入すると、介入者が自己の利益を追求し、相手方はもちろん、依頼者にとっても、法外な仲介料を要求されるなど不利益となる可能性があるので、弁護士法で禁止されているのです。
また、BさんがVさんとの交渉の際に暴行・脅迫を用いた場合、強盗罪や恐喝罪が成立する可能性もあります。
刑法
第236条1項(強盗)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
第249条第1項(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
~Aさんの行為にも犯罪が成立?~
Aさんは暴力団員Bさんに事件の解決を依頼しました。
その後、Vさんとの交渉にAさんがどの程度関わっていたか、Vさんから余分にとった20万円の一部をAさんも取り分として受け取っているかといった事情によっては、Aさんも弁護士法や刑法違反の共犯(共同正犯・教唆犯・幇助犯)として捜査され、場合によっては逮捕となる可能性もあります。
刑法第60条(共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
第61条(教唆)
第1項 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
第2項 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。
第62条(幇助)
第1項 正犯を幇ほう助した者は、従犯とする。
第2項 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
第63条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
大まかにいえば、60条の共同正犯は複数人が共同して犯罪を実行した場合、61条の教唆犯は他人を説得して犯罪をさせた場合、62条の幇助犯は他人の犯罪を手伝った場合です。
一般的には共同正犯が一番罪が重く、幇助犯が一番軽くなります。
ただし、実務上教唆犯や幇助犯となることはあまりなく、大半の場合役割が重要だったなどとして共同正犯として扱われます。
また、Bさんが実際にVさんとの交渉の席についていなくても、関与の程度によっては共犯とされるおそれがあるので注意が必要です。
~弁護士法違反・刑法違反事件では弁護士に相談を~
Bさんは逮捕されており、これから勾留による身柄拘束がされ、10日から数か月に及ぶ長期間の身柄拘束がされるおそれがあります。
また、Aさんもこれから逮捕されるおそれがありますし、逮捕まではされなかったとしても、在宅のまま取調べ等の捜査を受け、刑事裁判にかけられるおそれがあります。
あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
刑事事件に詳しい弁護士が、今後の事件の見通しをご説明したり、取調べを受ける際のアドバイスを差し上げます。
また、正式にご依頼いただければ、身柄解放、不起訴処分、軽い判決をいただくためにサポート致します。
弁護士法違反や恐喝罪などの刑法違反で捜査を受けた場合には、ぜひ一度弊所の弁護士にご相談ください。
(遠田警察署への初回接見費用41,500円)