覚醒剤の営利目的所持罪で起訴された方の保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
覚醒剤の営利目的所持罪で起訴
宮城県仙台市に住むAさんは、半年ほど前のある朝、急に訪ねて来た宮城県警の捜査員に自宅を捜索され、隠し持っていた覚醒剤を押収されました。
Aさんは、インターネットで覚醒剤を販売して生計を立てており、販売目的で所持していた覚醒剤が発見されてしまったのです。
その場で覚醒剤の所持罪で逮捕されたAさんは、その後、覚醒剤の譲渡容疑で再逮捕され、最終的には営利目的所持罪で起訴されてしまいました。
Aさんは、逮捕後を黙秘を貫いていますが、携帯電話の通話記録や、メールの履歴等の客観的証拠があることから、今後の刑事裁判では起訴事実を認めるつもりです。
実刑判決を覚悟しているAさんは、起訴後の保釈が認められるか不安です。
(フィクションです。)
保釈とは
身体拘束を受けたまま起訴されると、起訴後勾留の決定によって裁判で判決が言い渡されるまで身体拘束が続きますが、その間に、裁判所に保釈を請求して、それが認められると判決が言い渡されるまで身体拘束が解かれます。
これが保釈ですが、この保釈には3つの種類が存在します。
権利保釈
権利保釈については、刑事訴訟法第89条に規定されています。
ここで列挙された要件を全て満たす場合、裁判官は保釈を認めなければいけません。それが権利保釈です。
そしてその要件とは
①死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁錮に当たる事件ではない
②被告人が前に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪で有罪の宣告を受けたことがない
③常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した事件ではない
④罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がない
⑤被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者・その親族の身体・財産に害を加え、またはこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がない
⑥氏名・住居が分かるとき
です。
裁量保釈
裁量保釈とは、その名の通り、裁判所の裁量で保釈を認めるものです。
裁量保釈は、刑事訴訟法第90条に規定されており、権利保釈のように明確な要件が存在するわけではないので、保釈が認められるか否かは、弁護人がいかにして保釈の必要性と相当性を裁判官に訴えるかに左右されます。
裁判官は、被告人に
①逃亡のおそれがないこと
釈放された被告人に逃亡のおそれがないことを証明しなければなりません。
そのためには、保釈後に住定地があり、監督者が存在することが必要となります。
②罪証隠滅のおそれがないこと
事件の被害品等の証拠品は、起訴された時点で捜査機関の管理下にあるので、これを隠滅することは事実上不可能でしょう。
ただ事件の被害者や関係者、共犯者と接触して、供述を変遷させたり、口裏合わせする等の罪証隠滅の可能性があるので、その可能性がないことを証明する必要があります。
③保釈を求める理由があること
身体拘束を受けることによって被告人が被る、健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益を裁判官に訴える必要はあります。
これらの他にも事件の内容や、被告人の性格、素行、家族関係、健康状態、拘束期間、裁判の見通し、保釈金の額などの様々な諸事情を考慮し保釈の必要性や相当性を判断するのです。
義務保釈
身体拘束が不当に長くなった被告人に認められるのが義務保釈ですが、実務上、滅多にあるものではなく、毎年数人しか義務保釈で釈放される被告人はいません。
保釈に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
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