銃刀法違反

【銃刀法】

第22条

何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

第31条の18

次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

三  第22条の規定に違反した者

【銃刀法施行規則101条】

法第22条の内閣府令で定める刃体の長さの測定の方法は、刃物の切先(切先がない刃物又は切先が明らかでない刃物にあっては、刃体の先端。以下この条において同じ。)と柄部における切先に最も近い点とを結ぶ直線の長さを計ることとする。

2  次の各号のいずれかに該当する刃物については、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める方法により計ることとする。

一  刃体と柄部との区分が明らかでない切出し、日本かみそり、握りばさみ等の刃物刃物の両端を結ぶ直線の長さを計り、その長さから八センチメートルを差し引く。

二  ねじがあるはさみ 切先とねじの中心とを結ぶ直線の長さを計る。

3  刃体の両端に柄がついている等のため前二項に規定する測定の方法によりがたい刃物にあっては、前二項の規定にかかわらず、刃先の両端を結ぶ直線の長さを計ることとする。

4  刃先の両端を結ぶ直線の長さが第一項又は第二項に規定する測定の方法により計った刃体の長さより長い刃物にあっては、第一項又は第二項の規定にかかわらず、刃先の両端を結ぶ直線の長さを計ることとする。

【銃刀法施行令37条】

法第22条ただし書の政令で定める種類又は形状の刃物は、次の各号に掲げるものとする。

一  刃体の先端部が著しく鋭く、かつ、刃が鋭利なはさみ以外のはさみ

二  折りたたみ式のナイフであつて、刃体の幅が一・五センチメートルを、刃体の厚みが〇・二五センチメートルをそれぞれこえず、かつ、開刃した刃体をさやに固定させる装置を有しないもの

三  法第22条の内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが八センチメートル以下のくだものナイフであつて、刃体の厚みが〇・一五センチメートルをこえず、かつ、刃体の先端部が丸みを帯びているもの

四  法第22条の内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが七センチメートル以下の切出しであって、刃体の幅が二センチメートルを、刃体の厚みが〇・二センチメートルをそれぞれこえないもの

【軽犯罪法1条2号】

正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

1 銃刀法とは?

銃刀法は、正式名称を銃砲刀剣類所持等取締法と言います。具体的には、銃と刀の所持や使用、保有する際の届出等について定めています。

銃については、通常所持していることはありませんし、その違法性についても比較的明確ですから、以下では刀の方のみに着目していきたいと思います。

2 銃刀法22条

(1) 所持が禁止されるもの

銃刀法22条では、原則刃体の長さが6cm以上の刃物の所持を禁止しています。

(2) 例外

ただし、この銃刀法22条には、様々な例外が存在します。

  1. 正当な理由がある場合正当な理由があり、刃物を所持している場合には、銃刀法22条違反に問われることはありません。例えば、包丁を買った帰りであるとか、出先で刃物を仕事などで使う必要がある場合に、移動中に所持している場合が考えられます。
  2. 但書きに当たるもの銃刀法施行令により、先端の丸いはさみ等、一定の刃物が除外されています。これら施行令に当たる刃物の場合には、銃刀法22条違反に問われることはありません。

(3) 刑罰

銃刀法31条の18第3号により、22条違反では、法定刑として2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が予定されています。

3 軽犯罪法1条2号

(1)銃刀法との関係

刃体の長さが6cm以下の刃物であれば、銃刀法で規制されることはありません。しかし、軽犯罪法により処罰されることあります。

(2)軽犯罪法1条2号

軽犯罪法1条2号は、「他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」を隠して携帯していた場合を規制しています。

たとえ6cm以下の刃物であったとしても、それが生命を害し又は身体に重大な害を加えるのに使用されるような凶器であると判断されれば、軽犯罪法の処罰対象となります。また、銃刀法では規制されていなかった刀以外の物も、軽犯罪法違反となる可能性があります。例えば、木刀やスタンガンといった物がこれに当たります。

(3)軽犯罪法の法定刑

軽犯罪法は、拘留又は科料の制裁を予定しています。

拘留とは、1日以上30日未満、刑事収容施設に拘置する刑です(刑法16条)。懲役刑が最低1か月以上となっているため、それよりも短い刑です。

科料とは、1000円以上1万円未満の金額を徴収される刑です(刑法17条)。罰金刑が最低1万円以上となっているため、それよりも金額の低い刑です。

4 銃刀法・軽犯罪法のQ&A

①包丁を買って帰ればそれだけで銃刀法違反になるのですか?

いいえ。

包丁を買って帰った帰りであれば、正当な目的があるので銃刀法違反に問われることはありません。
ただし、不当な目的(殺人・強盗等)があれば、その予備罪(殺人予備・強盗予備)に別途問われる可能性があります。

②軽犯罪法違反で逮捕されることはありますか?

逮捕される場合があります。

軽犯罪法は、拘留・科料という軽い刑しか定めていません。刑事訴訟法199条1項は、30万円以下の罰金、拘留、科料に当たる罪の場合には、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく出頭の求めに応じない場合にのみ逮捕状を発することができると定めています。また、現行犯逮捕をする場合にも定まった住居を有しないか、逃亡するおそれがある場合にのみ現行犯逮捕できると規定しています(刑法217条)。

これらの要件を満たす場合には、軽犯罪法違反でも、逮捕される可能性はあります。

~銃刀法・軽犯罪法違反の弁護~

1 適切な主張をしていく必要があります

銃刀法は、そもそも「刃物」の定義に例外があり、所持が禁止される刃物であるかどうか判断が難しい面があります。また、刃体の長さ等客観的な数字以外にも、「鋭利」などの評価の必要な要件もあり、一層判断が難しくなっています。

銃刀法で規制される刃物であるのか、刃体の長さのはかり方に問題がないのかなど、適切に主張をしていく必要があります。

2 供述へのアドバイス

刃物の所持は、正当な理由がある場合には成立しません。正当な理由の有無は、基本的には所持していた時の本人の状況等で判断されますが、やはり本人の供述が重要になってきます。

警察で、所持の理由を聞かれた際、曖昧な答えをすると、正当な理由がないと判断される可能性があります。また、警察官に伝えた通りに供述調書が作成されず、そのまま強引に署名・押印を求められる可能性があります。

このような事態を避けるためにも、弁護士による適切なアドバイスを経たうえで、取調べに臨む必要があります。

銃刀法違反・軽犯罪法違反でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、刑事事件を専門的に取り扱う弁護士が、直接、無料法律相談を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く初回接見サービスもご提供しています。

お問合せは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイアル0120-631-881までお電話下さい。

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