1.「盗撮」
【性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律】 (性的姿態等撮影) 第2条 ① 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。 一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為。 イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分 |
2.「盗撮」について
厳密な法律上の定義があるわけではありませんが、一般に被写体となる相手の了承を得ずにひそかに撮影することが盗撮と言われます。
盗撮行為は、これまでは都道府県ごとに制定されている、いわゆる迷惑行為防止条例によって処罰されていました。宮城県では「迷惑行為防止条例」によって、公共の場所又は乗り物において下着等を撮影する行為(同条例3条の2第1項3号)や、更衣室やトイレにおける撮影行為(同条例3条の2第3項)が処罰の対象となっていました。罰則は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(同条例16条1項)、常習として行った場合は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金(同条例16条2項)となります。
盗撮は法律ではなく条例によって処罰されていましたが、令和5年になって新たに「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」が制定されました。飛行中の旅客機内での盗撮のように、犯行場所が明確に特定できないことで、いずれの都道府県の条例が適用されるかの判断ができず処罰を免れてしまうケースがあったこと、都道府県ごとに罰則の重さにばらつきがあったことなどが立法の理由と言われています。
新法が制定されたことで、盗撮は都道府県ごとの条例ではなく、法律によって一律に処罰することが可能になりました。法定刑は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金とされており、迷惑行為防止条例に比べて罰則が重くなっています。
3.「盗撮」についてのQ&A
①盗撮をした場合にどのような処分がみこまれますか?
行為の悪質性にもよりますが、一般的には初犯で前科がない場合、示談できれば不起訴になる可能性が高くなります。
もっとも、行為態様から常習性があると認定された場合や余罪が発覚した場合等は、起訴される可能性が高いです。
また、前科前歴がある場合、起訴される可能性が高くなります。
いずれにせよ、早期の示談解決が有利な処分を導く鍵となります。
盗撮は通常面識のない相手に対して行われるため、相手の連絡先を知っていることはまずありません。
事件を起こした被疑者(又は被疑者のご家族)の方が、ご自身で捜査機関に問い合わせをされても連絡先を教えてくもらえることは少ないです。
もし、連絡先を知ることができても被害者が会ってくれない、または示談交渉で揉めてしまうことがほとんどいっても過言ではありません。
一方で、弁護士にご依頼いただけますと、担当検察官から連絡先を教えてもらえる可能性が高くなり、弁護士に対してであれば示談交渉に応じてくれる被害者も多く、冷静な話し合いを持つことができます。
これにより、双方の意向を組んだ妥当な金額での示談解決が可能となり不起訴処分に大きく近づきます。
仮に起訴されたとしても、有利な処分(例えば、略式起訴・執行猶予)を導く可能性が高まります。
②被害者が告訴しなければ起訴されませんか?
迷惑行為防止条例違反による場合も、新法における撮影罪による場合も、親告罪ではありません。
早期に弁護士にご依頼いただき、対応を検討する必要があります。
示談が成立し、公訴の提起前に告訴が取消されれば、不起訴処分を獲得できます。
4.「のぞき」
【軽犯罪法1条23号】 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者 第2条 【住居侵入罪130条前段】 |
※拘留(こうりゅう)は、刑事施設に1日以上30日未満拘留されることです。
懲役は最低1か月以上なので、懲役刑より短い刑です。
科料(かりょう)は、1000円以上1万円未満の範囲内で言渡されます。
罰金が1万円以上なので、罰金より低い金額の刑です。
人の浴室などの「のぞき」については、軽犯罪法違反となります(公衆の場所でのぞきを行えば、迷惑行為防止条例違反になります)。
また、「のぞき」をするために人の住居に侵入した場合には、住居侵入罪(刑法130条前段)も成立します。
この場合、最悪、懲役刑が科せられることもあります。
迷惑防止条例と軽犯罪法違反の関係は、迷惑防止条例が「公共が~」「公衆が~」という限定がつけられているのに対し、軽犯罪法違反にはそのような条件がないことです。
この公共・公衆については、不特定又は多数人が有償・無償を問わず、自由に出入りできることを指します。
そのため、個人宅の浴室をのぞいた場合には軽犯罪法違反が、市民プールや駅のトイレなど、公共施設をのぞいた場合には、迷惑防止条例違反が成立することになります。
~盗撮・のぞき事件における弁護活動~
1.捜査段階における弁護活動
- 弁護士が接見に赴き、嘘の自白調書やニュアンスが違った調書が作成されないようアドバイスします。
盗撮・のぞきの場合は、余罪がないかと疑われることが十分考えられます。携帯電話内の動画や、被害者からの目撃情報などに基づいて、身に覚えのない事件について「やったのではないか」と言われることがあります。
記憶がない、曖昧なまま供述するのは危険です。
一度供述して、調書を作成してしまい、あとから間違いだったと主張するのは困難になります。
弁護士からの適切なアドバイスにより、取調べに対処する必要があります。 - 早期に示談交渉に着手して、不起訴処分など有利な結果を導けるように活動します。
のぞきの場合、被害者が明らかであることも多いため、示談をすることが処分を決める上で重要になってきます。
示談が成立した場合には、不起訴処分も十分考えられますし、仮に起訴されたとしても、有利な処分(例えば、略式起訴・執行猶予)を導く可能性が高まります。
しかし、捜査機関は被害者情報を明かしてくれるとは限りませんし、被害者情報を知ったとしても、うまく交渉できるとは限りません。
一方で、弁護士にご依頼いただけますと、捜査機関から連絡先を教えてもらえる可能性が高くなり、弁護士に対してであれば示談交渉に応じてくれる被害者も多く、冷静な話し合いを持つことができます。 - 早期の身柄開放を目指します。
逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。
そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。 - 否認事件では、独自に事実調査を行うとともに、不起訴(又は略式起訴)に向けて検察官に働きかけを行います。
2.公判段階における弁護活動
- 少しでも有利な処分(執行猶予)がでるように活動します。
- 依頼者の方と相談しつつ、必要であれば矯正プログラムの検討とともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポートします(捜査段階から行うこともあります)。
⇒性犯罪を起こした方は、自分のした行為を恥じ、深い後悔をされている方がほとんどです。
にもかかわらず、犯行を常習的に行ってしまう場合があります。
繰り返し性犯罪で捕まった場合、反省や更生がされていないとして、重い処分がなされる可能性が高まります。
しかし、そのような常習者のなかにも、犯罪行為を辞めたいと思いながら、自らをコントロールできずに繰り返してしまう方がいます。
このような場合には医療機関などの専門機関への受診と治療などを行い、根本からの改善を試みるように促します。 - 否認事件では、冤罪を防止すべく被害者の方に記憶違いがないかの検証・弾劾活動及び弁護側独自で有利な証拠を収集・提出できるよう活動します。
盗撮・のぞき事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へお問い合わせください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、刑事事件を専門的に取り扱う弁護士が、直接、無料法律相談を行います。
被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く初回接見サービスもご提供しています。
お問合せは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイアル0120-631-881までお電話下さい。