少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

20歳未満の者が犯罪をした少年事件の場合には、成人よりも更生の可能性が高く保護の必要性があるなどの理由により、手続の流れや処分内容などに違いがあります。
今回は少年事件の手続の流れや、少年事件で弁護士を雇うメリット・デメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~少年事件の手続の流れ~

少年が犯罪を行い逮捕されると、まずは最大3日間、警察署等に拘束され、警察官や検察官から取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる警察署等での身体拘束期間が続く可能性があります。

ここまでの流れは、成人事件でも同じです。

ただし少年事件では、勾留の代わりに、少年鑑別所に入れられ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査(観護措置)がなされることもあります。

その後、事件の処理は家庭裁判所の担当に移ります。
最初に4週間程度、少年鑑別所に入れられて調査を受けることが想定されます。
その結果も踏まえ、家庭裁判所調査官が中心となって、少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査・判断が行われます。

なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年については、日程調整の上で警察署・検察庁家庭裁判所に出向いて、取調べや調査官面談を受けるといった流れになります。

また、少年の中でも14歳未満の場合には、家庭裁判所ではなく児童相談所での手続きに移され、福祉的措置がとられることもあります。
さらに、犯罪そのものではなくても、家出をしたり交友関係に問題があるなどの場合にも、「虞犯少年」(グハンショウネン)として、児童相談所や家庭裁判所の手続に乗せられることもあります。

~少年審判とは?~

調査官等による調査の結果をふまえ、裁判官が少年の処遇を決めることになります。
比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判の結果としては以下のものが考えられます。

①不処分
少年審判が終わる頃には反省の態度が見られるようになり、再犯の可能性が低いような場合になされます。
審判不開始決定と同じく、成人事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものであり、ここで手続が終了となります。

②保護観察
保護観察所の指導・監督を受けつつ、少年を社会の中で生活させながら更生させていきます。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により帰る場所がなく②の保護観察が行えない等の場合に、福祉施設に住ませつつ、社会の中で生活させ更生を目指すというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、原則として外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件については、成人と同じ刑罰を受けさせるべきと判断されると、家庭裁判所から検察庁に事件が戻されます。
その後、追加の取調べなどの捜査がなされた上で、成人と同じ刑事裁判を受けるという流れになります。

以上のように、警察・検察の取調べや家庭裁判所調査官の調査を経て、少年の処分が決まっていくという流れになります。

~当番弁護・国選弁護人・国選付添人~

犯罪をして捜査を受けると、わからないことが多いので、弁護士に相談したい・弁護してもらいたいという方が多いと思います。
弁護士に依頼する費用がご心配な場合には、以下の制度を利用することができます。

まず、逮捕直後の3日間は、弁護士会が運営する当番弁護という制度を利用することができます。
1度の逮捕で1回しか利用できませんが、弁護士が本人のいる警察署等に面会に行き、無料で今後の刑事手続きや予想される処分の説明、取調べを受ける際のアドバイスなどをしてくれます。

その後、勾留が付いて身体拘束が続けば、国選弁護人の制度を利用することができます。
国の費用で弁護人を付けてもらうことができ、釈放や軽い処分・判決を目指して弁護活動をしてもらえます。

事件が家庭裁判所に移った後も、事件によっては引き続き国の費用で弁護士を付けてもらえます(事件が家庭裁判所に移った後は「国選付添人」という呼び方に変わります)。
審判不開始や不処分などの軽い処分・判決を目指して、弁護活動をしてもらえます。

また、国選付添人の対象外の事件では、日本弁護士連合会が運営する少年保護事件付添援助という制度を利用することができます。
国から弁護士費用を出してもらう代わりに、弁護士会が出してくれるというものですので、費用面が心配な方は積極的に利用されるとよいでしょう。

~当番・国選のデメリットは?~

当番弁護や国選弁護人・国選付添人の制度は、自己負担なしで弁護士を利用できるという大きなメリットがあります。

しかし、デメリットもあります。

【デメリット1】
当番弁護士は勾留を防ぐための弁護活動はしてもらえません

逮捕直後に利用できる当番弁護士は、アドバイスをしてくれますが、実際に弁護活動をしてくれるわけではありません。
ですので、逃亡や証拠隠滅のおそれがないという理由を裁判官や検察官に具体的に示すなどの弁護活動をしてもらえば、勾留されずに逮捕から3日以内に釈放されたのに、弁護活動を受けられなかったので勾留され、身体拘束が長引くということもあります。
弁護活動をしてもらいたい場合には、ご家族が自費で弁護士と契約する必要があります。

また、勾留が付いてしまった後に、勾留決定を取消すための不服申し立ての手続き(準抗告)を国選弁護士にしてもらい、釈放を目指すということもできます。
しかし勾留される前の弁護活動よりもワンテンポ遅れるため、当然ながら釈放も遅れてしまいます。
その間に、学校や勤務先などに事件のことが知れてしまい、処分を受けてしまうということもありえます。

【デメリット2】
国選弁護人や国選付添人は、どの弁護士に頼むかを選ぶことはできません

国選弁護人や国選付添人は、少年や家族が好きな弁護士を選ぶことはできません。
多くの弁護士はしっかり弁護活動をしてくれると思いますが、中には不満を感じる場合もあるでしょう。

また、土日祝日や長期連休中には動かないと決めている弁護士もいます。
働き方改革が叫ばれている現代において、そのことが悪いこととは言い切れませんが、休日に動かない分、弁護活動が遅れてしまい、釈放されるのも遅くなってしまうという可能性もあります。

【デメリット3】
当番・国選は、対象事件が限られています

家庭裁判所に送致される前の段階についての制度である当番弁護士や国選弁護人は、逮捕されている事件でしか利用できません。
比較的軽い事件で、逮捕されずに在宅捜査となった場合には、弁護士のアドバイスを受けられない状態で、取調べなどに対応していかなければならなくなります。

家庭裁判所に移った後の国選付添人は、逮捕されていない事件であっても利用できる場合がありますが、死刑や無期懲役、または上限が3年を超える懲役・禁錮が定められた犯罪をした場合で、かつ裁判所が必要と認めた時に付けてもらえるといった制限があります。
付添人を付けたい場合には、自費で弁護士と契約するか、少年保護事件付添援助制度を利用して弁護士に依頼する必要があります。

少年事件において家庭裁判所は、成人事件と比べて、本人の非行の進み具合や反省度合い、生育環境等を重視する傾向があり、犯した罪の重さと処分が必ずしも比例しません。
特に、今回犯したのが軽い罪であっても、何度も犯罪や非行を繰り返していれば、少年院送致などの重い処分となる可能性が上がります。
したがって、国選付添人が付かない軽い事件であっても、付添人が不要というわけではありません。

また、子供は大人の話に合わせてしまうことが多く、警察官などの取調べにおいて誘導に乗ってしまうような形になり、真実よりも不利な内容の調書を取られてしまう可能性もあります。

したがって、弁護士によるアドバイスがとても重要となってきます。

~私選弁護人・付添人のメリット・デメリット~

自費で自ら選んだ弁護士に依頼することのメリットは、上記の裏返しとなりますが、勾留前に動いてもらえる、少年事件に詳しい弁護士に頼める、土日祝日などにも動ける弁護士を選んで頼める、といったことがあげられます。

逆にデメリットとしてはやはり、弁護士費用を用意する必要があるという点になります。
特に家庭裁判所送致前は、少年保護事件付添援助制度も受けられませんので、負担が大きくなってしまいます。

~まずは一度ご相談ください~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件・少年事件に特化した事務所ですので、経験豊富な弁護士が対応いたします。

ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にてご本人と面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、事件や接見の内容をご家族にお伝え致します。
合わせて、弁護士費用等についてもご説明いたしますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない事件では、事務所での法律相談を無料で行っております。

今後の少年の人生に大きく関わるかもしれませんので、まずは一度、0120-631-881までご連絡ください。

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