スリで逮捕
スリをして窃盗罪で現行犯逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県仙台市に住むAさんとBさん。
電車内で、1人がわざと物を落とすなどして乗客の注意を引き、その間にもう一人が乗客のカバンから財布を取るといったスリを繰り返していました。
ある時、AさんとBさんがスリのために乗っていた電車内に、仙台中央警察署の警察官が、痴漢や盗撮などの犯罪が行われていないか捜査するために、私服で乗っていました。
AさんとBさんが、他の乗客の荷物を目で追うなどの不審な動きをしていたことから、その警察官が注意して見ていたところ、スリをした瞬間を目撃しました。
AさんとBさんは、窃盗罪の容疑で現行犯逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~スリは窃盗罪~
防犯意識が高まり、昔よりもスリが難しくなったのか、最近はあまり聞かなくなった気もしますが、スリで逮捕されたといった事件は今でも見受けられます。
酔っ払って寝ている人の財布を盗むといった犯行もありますが、リュックなどからはみ出た財布が抜き取られるといった方法は、うっかりすると誰でも被害に遭う可能性がありますので、注意が必要です。
一方、スリをした側は、当然ながら窃盗罪に問われることになるでしょう。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、最高で懲役10年という重い刑罰が定められています。
窃盗罪は、魔が差して行うパターンから、周到な計画を立てて高額な物を盗むといったパターンまで、色々なケースがあります。
また、初犯の人から犯行を繰り返している再犯の人まで色々です。
科されうる刑罰が幅のあるものとなっているため、様々な窃盗事件に対応できるということになります。
同じスリであっても、目の前の人の財布が簡単に取れそうな場面に出くわし、1回だけしてしまったというパターンと、冒頭の事例のように、計画を立ててする場合とでは、結果が変わって来るでしょう。
~示談を目指す~
また、被害者に謝罪・賠償して示談を結ぶことができたかという点も、結果に大きく影響してくる可能性があります。
犯行の内容・被害金額・前科の有無などにもよりますが、罰金で済んだり、不起訴処分で終わる可能性もなくはありません。
不起訴処分とは、今回は大目に見るということで、裁判にかけられず、刑罰も受けず、前科も付かずに手続きが終わることをいいます。
~逮捕後の手続き~
犯罪をして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身柄を拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
ここまでの間に釈放されたとしても、不起訴処分で無罪放免と決まるわけではなく、処分保留で釈放という形になり、最終結果は持ち越しとなることもあります。
その後、検察官が刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判を受け、執行猶予とならない限り、そこで判断された刑罰を受ける流れになります。
一方、検察官が不起訴処分をすれば、裁判も刑罰も受けず、前科も付かずに終わるのは前述したとおりです。
なお、罰金で終わらせる場合には、起訴の中でも略式起訴という手続きが採られることが多いです。
テレビで見るような公開の法廷で裁判を受けるのではなく、簡略化された手続きで罰金にするというものです。
~弁護士にご相談ください~
あなた自身やご家族が、突然逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、どんな罪に問われているのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやってすればよいのかなど、わからないことが多いと思います。
事件ごとの具体的な事情をもとに、今後の見通しをご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。