盛岡東警察署が逮捕
痴漢で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
岩手県盛岡市に住むAさん。
混雑するバスの車内での痴漢行為を繰り返していました。
ある日、いつものように標的を定めて痴漢をしたところ、被害者が、
「やめてください」
と声を上げました。
周りの乗客の手助けもあり、Aさんはすぐにバスから降ろされ、駆け付けた盛岡東警察署の警察官によって逮捕されました。
連絡を受けて驚いたAさんの家族は、すぐに弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
~痴漢で成立する犯罪は?~
痴漢をすると、その犯行態様によって、①各都道府県の条例違反になる場合と、より重い刑法の②強制わいせつ罪が成立する場合があります。
たとえば服の上から痴漢をした場合、①各都道府県の条例違反となることが多いです。
ただし、服の上からでも悪質な態様の痴漢と判断されれば②強制わいせつ罪が成立する可能性もありえます。
一方、スカートや下着の中に手を入れて触ったというようなケースでは、②強制わいせつ罪が成立する可能性が高いでしょう。
岩手県の条例は、以下のような規定となっています。
第8条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安を生じさせ、若しくは嫌悪の情を催させる方法で、卑わいな行為であって次に掲げるものをしてはならない。
(1) みだりに他人の胸部、臀(でん)部、下腹部等(以下「胸部等」という。)の身体の一部に触れること(着衣の上からこれらの身体の一部に触れることを含む。)。
罰則は、痴漢常習者ではない場合には、12条1項により、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があります。
痴漢常習者の場合、同条2項により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になる可能性があります。
痴漢の前科がある場合には、常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。
一方、②強制わいせつ罪は以下のような規定になっており、刑罰もより重くなっています。
刑法第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
~今後の刑事手続きの流れ~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
~早期釈放や軽い処分を目指す~
上記の手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留決定をしなければ、最初の3日間で釈放されます。
比較的軽い犯罪では、この段階で釈放されることもよくあります。
そこで弁護士は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由などを意見書にまとめて検察官や裁判官に提出するなどし、勾留を防ぐ活動をします。
次に、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付きません。
起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑に処する略式起訴を選ぶこともあります。
そこで、被害者と示談が成立していること、本人が反省していること、前科がないこと、家族の監督が期待できること、性犯罪防止のための治療やカウンセリングに通い始めたことなど、本人に有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分にするよう検察官に要請していきます。
前科の有無にもよりますが、比較的軽い犯罪では、被害者と示談が締結できれば不起訴処分などの結果になることもよくあります。
~弁護士にご相談を~
警察に逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
痴漢などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。