宮城県富谷市の認知症の高齢者の窃盗事件 責任能力に強い弁護士
宮城県富谷市在住72歳女性Aさんは、同市のスーパーマーケットにおいて、食料品数点を万引きしたところ、店員に見つかり、私人による現行犯逮捕をされました。
駆け付けた警察官に引き渡されたAさんは、宮城県警察大和警察署で取調べを受けています。
Aさんの息子は、Aさんが万引きしたのはAさんが最近認知症と診断されたことと関係があるのではないかと思い、刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~高齢者の犯罪~
平成29年版犯罪白書によると、平成28年10月1日現在の総人口に占める高齢者(65歳以上の者)の比率は27.3%であり、平成28年の高齢者の検挙人員は他の年齢層と比較して最も多い4万6,977人でした。
高齢者の刑法犯検挙人員の罪名別構成比では、高齢者では全年齢層と比べて窃盗の割合が高く、特に女性では約9割が窃盗であり、加えて万引きによる者の割合が約8割と際立って高いそうです。
なお、平成29年犯罪白書によると、高齢者の起訴猶予(嫌疑はあるが、今回に限り罪に問わないという不起訴処分)率は他の年齢層に比べると高く、窃盗において特にその差が大きいようです。
~認知症と刑事上の責任~
認知症の高齢者が犯罪を起こした場合、刑事上の責任を問われるかどうかは、刑法第39条に定められている心神喪失者や心神耗弱者に該当するかが焦点となります。
刑法39条は、「心神喪失者の行為は、罰しない。」「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」と定めています。
心神喪失とは①物事の善悪を判断する事理弁識能力、②その判断に従って行動する行動制御能力のどちらかもしくは両方が欠けている状態を指します。
この①か②が欠けている状況のことを、責任能力がないなどと言います。
心神耗弱とは、①②の両方とも完全に欠けているわけではないが、①②のいずれかが著しく減退している状況にある場合を指します。
認知症を患っている場合には、①②に影響が出ている可能性が考えられます。
しかし、「認知症」という診断があるからという理由で、例えば心神喪失であるとして不起訴・無罪になるとは限りません。
判例では、心神喪失又は心神耗弱について、法律判断であり、生物学的(精神障害の認定)、心理学的要素(弁識能力と制御能力の認定)についても、法律判断との関係で究極的には裁判所の評価に委ねられるべき問題であるとしています。
加えて、認知症による「認知機能の低下」と、心神喪失者などの事理弁識能力や行動制御能力の低下は、必ずしも一致しないと考えられていることにも注意が必要です。
つまり、認知症で認知機能の低下があるからといって、直ちに事理弁識能力や行動制御能力が低下している、つまり心神喪失者であるとはいえないということです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、責任能力の有無が問題となる場合、客観的な証拠に基づいて主張・立証をおこない、不起訴処分・無罪判決の獲得を目指します。
窃盗罪などの刑事事件を認知症の高齢者が起こしてしまってお困りの場合、まずはお気軽にフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
(宮城県警察大和警察署の事件の初回法律相談:無料)