宮城県での略取・監禁で逮捕
わいせつ目的略取罪や監禁罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県石巻市に住むAさん。
好意を寄せていた女性に交際を申し込みましたが、断られました。
逆恨みしたAさんは、わいせつな行為をしてやろうと考え、帰宅途中の女性を待ち伏せし、自らの車に無理やり押し込んでAさんの自宅まで連れていき、部屋に施錠して閉じ込めました。
しかし女性は、Aさんが一瞬目を離した隙に窓から逃げ出しました。
逃げ出した際に女性は足にケガをしました。
その後Aさんは、女性からの通報を受けて駆け付けた石巻警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~わいせつ目的略取罪~
逆恨みからわいせつ行為をする目的で女性を車に押し込んで拉致したAさん。
わいせつ目的略取罪が成立するでしょう。
第225条
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
「略取」とは、暴行・脅迫を用いて他人を生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配下に置く行為をいいます。
Aさんは「わいせつ…目的で」、女性を車に押し込むという暴行を用いて「略取」したということになります。
なお、暴行・脅迫ではなく、だましたり誘惑などの手段を用いた場合を「誘拐」といいます。
~監禁致傷罪~
Aさんは女性を自室に閉じ込め、逃げようとした女性がケガをしたことから、監禁致傷罪も成立するでしょう。
第220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
第221条
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能または著しく困難にして、行動の自由を奪うことをいいます。
今回は結果的に女性が逃げ出すことができていますが、少なくとも自室に施錠して女性が部屋から出ることを著しく困難にしたとして、「監禁」に当たる可能性は十分考えられます。
刑罰は監禁罪(220条)と傷害罪(204条)を比較して、上限も下限も重い方が基準となります。
傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金ですので、結局、監禁致傷罪は、3カ月以上15年以下の懲役ということになります。
なお、自動車に押し込んで車を発進させると、女性が隙を見て逃げ出そうとしても大怪我のおそれがあります。
そうするとこの時点で、自動車という一定の区域から出ることを著しく困難にしたという余地があります。
したがって、仮に部屋に閉じ込める前に女性が逃げることができたとしても、監禁罪が成立する可能性もあるでしょう。
~逮捕後の手続~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
弁護士としてはまず、逃亡や証拠隠滅をする可能性が低いと言える理由を意見書にまとめ、検察官や裁判官に提出するなどして勾留を防ぎ、早期に釈放されることを目指していきます。
ただし、決して軽い罪ではないことから、刑罰から逃れるために逃亡のおそれがあると判断されたり、被害者を脅迫して供述を変えさせるなどの行為(供述証拠隠滅の一種)をする可能性があると判断され、勾留が続いてしまう可能性も高いです。
また、裁判においては、執行猶予などの比較的軽い判決となるように、被害者と示談交渉をするなどの弁護活動をしていくことになります。
~弁護士にご相談を~
Aさんの罪は軽くないかもしれませんが、弁護士が間に入ることによって被害者に賠償して示談を締結することができ、罪が軽くなる事情の1つとなる場合もあります。
当事者双方にとって良い結果となるよう、一度弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
略取や誘拐、監禁などで逮捕された、取調べのために警察に呼び出されたといった場合には、ぜひご相談ください。