宮城県での保護責任者遺棄で逮捕

宮城県での保護責任者遺棄で逮捕

保護責任者遺棄等罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県七ヶ浜町に住む男性Aさん。
子供がいる女性Bさんと結婚しました。
しかし、Bさんの連れ子の存在がうとましくなり、殴ってケガをさせたり、食べ物を与えないなどの虐待行為に出るようになりました。
Bさんは虐待をやめさせたいと考えていましたが、Aさんからの暴力をおそれ、止めることができずにいました。
ある日、その子供がやせ細り、体にアザが出来ていることに学校の先生が気付き、警察や児童相談所に相談。
児相の職員がAさんやBさんに事情を聞くなどの対応に出ました。
しかし虐待が止まる様子がなかったことから、子供は児童相談所に保護されるとともに、Aさんは塩釜警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)

~虐待で成立する犯罪~

子供を虐待すると、様々な犯罪が成立する可能性があります。

まず、食事を与えず、健康状態を害することになれば、保護責任者遺棄等致傷罪が成立する可能性があります。

刑法第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条(遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

Aさんは、義理ではあるものの子供の父親の立場にあるわけなので、「幼年者」である子供を「保護する責任のある者」にあたることになるでしょう。
しかし、食事を与えるという「生存に必要な保護をしなかった」として、保護責任者遺棄等にあたることになります。
その結果、子供に健康被害が出れば、人に傷害を与えたということになります。
219条の「死傷」とは死亡または傷害という意味ですので、「前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた」ということになります。
したがって保護責任者遺棄致傷罪が成立するわけです。

刑罰は、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とありますが、傷害罪と保護責任者遺棄等罪の刑罰と比較して、上限も下限も重い方となるという意味です。
結局、3カ月以上15年以下の懲役ということになります。

Aさんはもちろん、Aさんの暴力をおそれて子供を保護できなかったBさんも、同じ罪に問われる可能性もあります。

~傷害罪も~

Aさんは子供を殴ってアザが出来るなどの傷害を負わせているので、別途、傷害罪にも問われる可能性があります。

第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

Bさんも暴行を止めなかったことから、Aさんが暴行をするのが容易になったとして、傷害罪の幇助犯に問われる可能性が考えられます。

第62条1項
正犯を幇助した者は、従犯とする。
第63条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。

幇助犯の場合は実行犯の人よりも刑が半分に減軽されるので、7年半以下の懲役または25万円以下の罰金となります。
しかし、保護責任者遺棄等致傷罪と合わせると3カ月以上22年半以下の懲役ということになってしまいます。

~今後の刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

弁護士としては、罰金刑や執行猶予などの軽い結果となるよう弁護活動をしてまいります。

~弁護士にご相談を~

逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。

保護責任者遺棄等致傷罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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