宮城県での現場助勢で逮捕
現場助勢罪などで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県大郷町に住むAさん。
友人数名と居酒屋で飲み会をした後、2軒目に行くために道路を歩いていました。
その時、Aさんの友人と、偶然すれ違った別のグループの人が、肩が触れたなどという理由で殴り合うなどのケンカを始めました。
Aさん自身は相手を殴ったりはしませんでしたが、
「やれやれ!負けるな!」
などと言って、周りからはやし立てました。
通報を受けて駆け付けた大和警察署の警察官により、喧嘩をした友人が逮捕されるとともに、Aさんも逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~現場助勢罪とは~
ケンカそれ自体には加わっていないAさんですが、警察に逮捕されてしまいました。
Aさんは現場助勢罪または傷害罪の幇助犯の容疑で逮捕されたということになるでしょう。
まずは現場助勢罪について条文を見てみます。
刑法第206条
前二条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
「前二条」というのは傷害罪と傷害致死罪です。
これらの犯罪が行われているときに、周りからはやし立てるなどして犯行の「勢いを助けた」場合には、「自ら人を傷害しなくても」、現場助勢罪という犯罪が成立してしまうことになります。
刑罰は1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料であり、さすがに傷害行為を自ら行った場合(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)よりは軽いですが、処罰される可能性はあるわけなので、注意が必要です。
なお、科料は罰金と同じようなものですが、1000円以上1万円未満が科料、1万円以上が罰金と呼ばれています。
~傷害罪の幇助犯~
Aさんは、傷害罪の幇助犯に問われる可能性もあります。
第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第62条1項
正犯を幇助した者は、従犯とする。
第63条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
友人をはやし立てるなどして鼓舞し、友人がケンカ相手に殴りかかりやすくなったという場合には、傷害罪の幇助犯が成立することになります。
現場助勢罪との区別は難しいところですが、実際に友人が鼓舞されケンカ相手への傷害行為をやりやすくしたといえる場合には、傷害罪の幇助犯が成立することになります。
一方、Aさんの声が友人に聞こえていない場合、あるいは、はやし立てる行為がなくても友人が同じ傷害行為をしていたであろう場合などは、現場助勢罪に問われることになるでしょう。
傷害罪の幇助犯の場合は63条が適用され、傷害の実行犯よりも刑が半分に軽くなりますが、それでも7年半以下の懲役または25万円以下の罰金となる可能性があります。
~傷害罪の教唆になるケースも~
ケンカが始まった後にはやし立てた場合には現場助勢罪や傷害罪の幇助犯が成立するにとどまります。
しかし、まだ始まっていない段階で、「やっちまえ」「殴れ」などと言って焚きつけて、ケンカを始めさせたような場合には、傷害罪の教唆犯が成立する可能性があります。
第61条1項
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
「正犯の刑を科する」とあるので、傷害罪の実行犯と同じく、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となってしまいます。
教唆犯は、犯罪を作り出した「黒幕」のような存在として、実行犯と同じ範囲で刑罰を受ける可能性があるのです。
~ぜひご相談ください~
逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
現場助勢罪や傷害罪の幇助犯・教唆犯などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。