車で轢いて殺人未遂罪

車で轢いて殺人未遂罪

同僚の男性を自動車で轢いて殺害しようとしたとして、宮城県大郷町在住のAさんは、殺人未遂罪の疑いで宮城県大和警察署逮捕されました。
同署によると、Aさんは勤務する同町内の会社の敷地で、口論の末に同じ会社に勤めるVさんを轢いた疑いがもたれており、Vさんは命に別状はないものの手足を骨折するなど大怪我を負いました。
事件は当初、交通事故として調べられていましたが、現場の状況とAさんの説明のつじつまが合わないことから、さらに捜査したところ、取調べでAさんが「自分の意志で同僚をひいた」とVさんを轢いたことを認めました。
しかし、Aさんは「殺すつもりはなかった」と殺意については否定しています。
(今年1月に青森県で実際に起きた事件を基にしたフィクションです。)

事例のAさんは、「自分の意志で同僚をひいた」ことを認めていますが、「殺すつもりはなかった」と殺意については否認しています。
今回は、殺人未遂罪と殺意の否認について解説します。

~殺人未遂罪~

殺人未遂罪(刑法203条、199条)は、殺人の実行行為をしたが、殺害の結果が生じなかった場合に成立する犯罪です。
殺人の実行行為とは、「殺意を持って、人が死亡する危険性がある行為をすること」です。
つまり、殺人未遂罪となるのは、人を殺害しようとして、人を殺害する危険性のある行為をしたにもかかわらず、人を死に至らせなかった場合です。

今回の事例に関して考えると、自動車でVさんを轢くという行為は、人を死亡させる危険性のある行為と言えます。
しかし、Vさんは手足を骨折するなど大怪我を負うにとどまり命に別状はなかったため、Aさんは人を死に至らせてはいません。
したがって、Aさんが人を殺害しようとしたか否か、つまり殺意の有無により、殺人未遂罪の成否が変わってきます。

「殺意」というと、「殺してやる」と明確に思うことを想像するかもしれませんが、「殺意」は、「この行為をすれば相手は死んでしまうかもしれないが、それでもかまわない」と言う程度で認められます。
例えば、AさんがVさんを「殺してやる」と思っていた場合はもちろん、「(Vさんを)轢けば死ぬかもしれないが、それでもかまわない」と考えていた場合は、殺意を認定される可能性が高いということになります。

~殺意の否認と取調べ~

殺人罪や殺人未遂罪の成否の判断においては、殺意の有無が重要な要素となります。
本当に殺意があったか否かは,本人にしかわかりませんが、一般に殺人(未遂)事件では、事件時に本人がかなりの興奮状態にあることが多いため、本人も自分の心理状態を正確に認識していないことがよくあります。
しかし、殺人未遂罪のような重大事件で殺意を被疑者が否認している場合には、取調官が殺意を認めさせるために執拗かつ威圧的な取調べを行う危険性があります。
このような取調べに屈して殺意を認めてしまうと、後から取調べの違法性を証明することが容易ではないため、被告人の有罪・量刑を決める重要な証拠として採用されてしまう恐れがあります。

このような状況に対処するためには、弁護士に弁護を依頼することをお勧めします。
弁護士に、被疑者の権利や厳しい取調べの対応方法を尋ねることができますし、執拗かつ威圧的な取調べが、違法もしくは不当である場合には、弁護士による抗議や取調べの違法性や不当性を主張することも考えられます。
殺人未遂罪などの重大事件や否認事件の場合は、刑事事件の専門知識を持った弁護士に依頼すると心強いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所であり、数多くの相談が日々寄せられています。
まずは無料法律相談または初回接見サービスのご利用をご検討ください。
(宮城県大和警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。)

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