交通事故で取調べ

交通事故で取調べ

交通事故で人を死傷させ、警察の取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県涌谷町に住むAさん。
自動車を運転中に、一時停止の標識を見落としてしまい、減速せずに直進。
歩行者をはねてしまい、1人を死亡、もう1人を負傷させてしまいました。
Aさんは駆け付けた宮城県遠田警察署の警察官により、一通りの事情聴取を受けました。
後日、再び警察署に呼ぶと言われたAさん。
心配になって弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)

~過失運転致死傷罪に~

自動車を運転中に不注意で交通事故を起こした場合、被害者が負傷すると過失運転致傷罪に、死亡すると過失運転致死罪に問われる可能性があります。
条文を見てみましょう。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

この条文の1文目では、被害者の負傷と死亡を合わせて「死傷」と規定し、どちらも法定刑(法律に定められた刑罰)は同じですが、死亡の方が重い判決となる傾向にあります。
また2文目により、被害者が軽い負傷にとどまった場合には、運転者の不注意の程度なども考慮の上、刑罰が免除される可能性があります(執行猶予とは別の制度です)。

Aさんの場合には、死亡と負傷が1人ずつという結果です。
したがって、理論的には過失運転致死罪過失運転致傷罪が1つずつ成立することになります。

ただ、1つの事故で2人以上の人を死傷させた場合、重い方の過失運転致死罪の法定刑の範囲で処罰されることになるでしょう(刑法54条1項参照)。
したがって、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となり、刑罰が免除される可能性はありません。
執行猶予が付く可能性はありますが、猶予期間中に何らかの犯罪をした場合には、猶予が取り消され刑罰を受けることになるという点が、完全に刑罰を受けることがなくなる刑の免除と違う点です。

なお、この刑事処分とは別に、免許停止免許取消処分になる可能性もあります。
死亡事故を起こした場合、過去3年間の交通違反での処分歴がなく、今回の事故の過失(不注意の程度)が軽い場合には90日間の免許停止になりますが、それ以外の場合は免許取消となります。

詳しくはこちらのページをご覧ください。
交通違反点数制度と一覧表

~弁護士にご相談を~

今後Aさんは、自宅から警察署や検察庁に行って取調べを受けたのち、裁判所に行って裁判を受ける流れが予想されます。
このように逮捕されていない事件を「在宅事件」と言います。

在宅事件では、逮捕されないという大きなメリットがありますが、逆に裁判が始まるまでの期間は、国の費用で弁護士を付けてもらえる国選弁護人の制度を利用することができません。
しかし、取調べにはどう対応したら良いのか、謝罪や賠償、示談などはどうやったらいいのかなど、わからない点が多いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件を含む刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
在宅事件では無料法律相談を、万が一逮捕されている事件では初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

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