【事例解説】人のパソコンを壊して高校生が逮捕、少年事件の少年審判が開かれる際の条件は
器物損壊罪と少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県柴田郡に住んでいる高校生のAさんは、同じ高校のクラスメイトであるVさんがノートパソコンを持っているところ見つけました。
AさんはVさんに絡み、ノートパソコンを渡すように言いましたがVさんは拒否しました。
それに怒ったAさんは、後日Vさんのパソコンを殴って破損させました。
そのことを聞いたVさんの両親はAさんのことを警察に相談しました。
そしてAさんは、器物損壊罪の容疑で大河原警察署に連行されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
器物損壊罪
刑法第261条は、「他人の物を損壊し、又は傷害した者」に「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」を科しています。
この場合の「損壊」とは破壊に限らず、物の効用を害する一切の行為を指します。
参考事件のような物を破損させる以外では、物を隠す、物を汚すといった行為でも「損壊」に含まれます。
「傷害」は傷害罪で定めるものとは違い、他人の所有するペットを傷付けることを意味します。
つまり、人が飼っているペットに怪我をさせる行為は、器物損壊罪となります。
Aさんの場合、Vさんが所有しているノートパソコンを破損させているため、典型的な器物損壊罪となります。
少年法の適用
参考事件のAさんは高校生であるため、事件は少年事件として扱われます。
少年事件では先述のような拘禁刑や罰金ではなく、少年法に則って家庭裁判所が少年審判を開き、処分を決定します。
ですがこの少年審判は、必ずしも開かれるとは限りません。
少年法第19条第1項に「家庭裁判所は、調査の結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければならない。」という条文があります。
まず家庭裁判所は保護者による指導が可能か、保護処分の必要があるかどうかなどを調査し、少年審判が必要かどうかを判断します。
条文にある「審判に付することができず」とは、審判条件が存在しない、非行事実の可能性がないといった場合などです。
「審判に付するのが相当でないと認めるとき」とは、事案が軽微、少年の反省が見られ保護者の指導によって更生の可能性がある場合などです。
そのため審判不開始を目指す場合は家庭裁判所に対して、少年が反省している、更生のための環境が施設に送致せずとも整っているといった主張をすることが大切です。
弁護士がいればそれらの主張を正式な書面にして、家庭裁判所に提出することで、審判不開始を目指すことができます。
ご家族が少年事件を起こしてしまった場合、まずは弁護士に相談し、弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めします。
少年事件に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、少年事件を含む刑事事件を中心に扱っている法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤルでは、初回無料でご利用いただける法律相談の他、逮捕されている方のもとへ弁護士が直接赴く初回接見サービスなどをご予約いただけます。
どちらのご予約も、土、日、祝日も24時間受け付けております。
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