コンビニに落書きをした建造物等損壊事件で逮捕、建造物等損壊罪における「損壊」の定義とは
建造物等損壊罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県大崎市に住んでいる大学生のAさんは、近所にあるコンビニの看板にスプレーを使って落書きをしていました。
しかし、Aさんが落書きをしているところはコンビニの利用客が目撃していました。
現場を目撃した客は店員にそのことを伝え、店員はそのまま警察に通報しました。
そしてAさんが再度コンビニに訪れた際、張り込んでいた古川警察署の警察官が建造物等損壊罪の容疑でAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
建造物等損壊罪
落書きと聞くとイタズラのレベルと思う方もいるかもしれませんが、参考事件のようなケースには刑法が適用されてしまいます。
Aさんの逮捕要因である建造物等損壊罪とは、刑法第260条に「他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」と定められています。
この条文の後段、「よって死傷させた者」とは建造物等損壊致傷罪、および建造物損壊致死罪を指しています。
この条文で言う「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことであり、屋根があって壁または柱により支持されて土地に定着し、少なくともその内部に人が出入りできるものを指しています。
また、「艦船」は人が出入りできる構造の軍船及び船舶のことで、船着場にとまっている漁船、小型のフェリーなどが「艦船」に当たると考えられています。
建造物等損壊罪における「損壊」には破壊する意味も含まれますが、その他の方法によって建造物・艦船の効用を低くしてしまう、またはなくしてしまうことも意味します。
景観や威容もそれらの効用に含まれているため、原状回復が容易ではない状態にすることは、破壊していなくとも効用を害したと言えます。
落書きはもちろんですが、ビラなどを大量に張り付ける行為も損壊と判断される可能性があります。
そのため参考事件のAさんには、建造物であるコンビニの看板に、落書きをして景観を原状回復が容易ではない状態に損壊させたことから、建造物等損壊罪が適用されました。
示談交渉の重要性
建造物等損壊罪で重要になるのは示談交渉です。
被害弁償を行い示談の締結をすることができれば、不起訴処分となる見込みもあります。
しかし、建造物等損壊事件による示談交渉は、損壊の程度によって支払うことになる示談金も変わってきます。
個人間でのトラブルから建造物等損壊事件に発展したケースの場合、修理費だけでなく慰謝料も含まれる金額を支払う必要も出てきます。
金額面でトラブルになってしまうと示談交渉が難航してしまい、示談が締結できなくなってしまうことも考えられます。
そのため示談交渉をお考えの際は、示談交渉に詳しい弁護士に依頼し、間に弁護士を入れた状態で示談交渉を進めることをお勧めいたします。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。
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