警察署から逃走して逮捕

警察署から逃走して逮捕

逃走の罪を犯した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
Aさんは犯罪をして逮捕・勾留され、宮城県内の某警察署の留置場に入れられていました。
ある日、面会に訪れた家族と面会した直後、警備が手薄になった瞬間を狙って、警察署から逃げ出してしまいました。
1週間ほど逃走しましたが、大規模な捜査か態勢を敷いた警察から逃れることは出来ず、再び逮捕されて警察署に戻されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~逃走の罪とは~

逃走の罪とは、警察署あるいは拘置所で勾留されている人や、裁判で実刑判決になって刑務所に入れられている人が、外に逃げ出したり、逃げようとした場合に成立する罪です。
また、逃走を手助けした者も処罰の対象となります。

あまり発生しない犯罪ですが、2018年にも大阪の警察署から被疑者が逃走する事件が起きました。
条文で確認してみましょう。

刑法第97条
裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。

拘束されている者が逃走した時には、少なくとも97条の逃走罪が成立します。
さらに、逃走の方法によっては、より重い98条の加重逃走罪が成立することもあります。

第98条
前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

たとえば、部屋の鍵や窓ガラス、手錠などを壊して逃走したり、警察官や刑務官などの暴行・脅迫を加えたりした場合には、加重逃走罪が成立します。
また、拘束されている人が複数人で一気に逃走すると、警察署等による対応が難しくなるので、このような事態を防ぐために、2人以上通謀(相談)して逃走した場合も加重逃走罪が成立することになっています。

続いて、逃走を手助けした者の罪を確認していきましょう。

第100条1項
法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした者は、三年以下の懲役に処する。
第2項
前項の目的で、暴行又は脅迫をした者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

100条1項が、器具を提供するなどして逃走を手助けした逃走援助罪です。
その際、警察官などに対し暴行脅迫をした場合には、同条2項が成立し、より刑罰が重くなります。

さらに、単に逃走を手助けしたにとどまらず、脱出させて自分や第三者の支配下に移した場合、「奪取」したものとして、より重い99条の被拘禁者奪取罪が成立します。

第99条
法令により拘禁された者を奪取した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

加えて、警察官や刑務官が逃走を手助けした場合については、特に重い刑罰が101条に定められています。

第101条
法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、一年以上十年以下の懲役に処する。

最後に、これらの罪は逃走が失敗に終わっても、未遂罪として処罰される可能性があります。

第102条
この章の罪の未遂は、罰する。

~刑事手続きの流れは?~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

実刑判決を受けて服役中の者が逃走の罪を犯した場合は、改めて裁判を受けて、再び実刑判決が下れば、逃走時に執行中だった懲役刑にプラスして、刑務所に服役することになります。
まだ裁判が確定しておらず勾留中だった者が逃走した場合、改めて逮捕・勾留の手続がとられ、勾留の原因となっていた罪とまとめて裁判にかけられることが予想されます。

不明点・不安点も多いと思いますので、ご自身やご家族が逃走の罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

0120-831-881までご連絡をお待ちしております。

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