警察への偽計業務妨害事件で書類送検された

警察への偽計業務妨害事件で書類送検された

警察への偽計業務妨害事件書類送検された場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,宮城県登米市の緑地において,『後ろから突然刃物で切り付けられた上,「金を出せ」と脅され,バッグを盗まれた』と自ら110番通報をしました。
宮城県登米警察官による捜査の結果,Aさんによる通報は全くの虚偽であり,刃物による切り傷も自作自演だったことが判明しました。
その後,Aさんは警察官による呼出しを受け,警察官からは「書類送検をする」と言われたといいます。
Aさんは,この後どうなってしまうのでしょうか。
(2021年7月26日にTBSNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【偽計業務妨害罪とは】

刑法233条
虚偽の風説を流布し,又は偽計を用いて,人の業務を妨害した者は,3年以内の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

偽計業務妨害罪は,刑法233条に規定されています。
偽計業務妨害罪の成立要件は,「偽計を用いて,人の業務を妨害した」ことです。

偽計業務妨害罪のいう「偽計」とは,人を欺罔し(だまし),または人の不知(無知),錯誤(勘違い)を利用することをいいます。

また,偽計業務妨害罪のいう「業務」とは,職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業のことをいいます。
この偽計業務妨害罪のいう「業務」には,警察の業務も含まれると考えられています(東京高等裁判所判決平成21年3月12日)。

さらに,偽計業務妨害罪のいう「妨害した」とは,業務遂行に混乱・支障が生じるおそれがあることをいいます。

刑事事件例では,これらの偽計業務妨害罪が成立するとみて,偽計業務妨害罪での取調べが行われたのだと考えられます。

【書類送検とは】

書類送検とは,検察官に対して刑事事件(の記録)を送り,警察官から検察官に捜査の担当者を代えることであるということができます。
書類送検については,刑事訴訟法246条が規定しています。

刑事訴訟法246条
司法警察員は,犯罪の捜査をしたときは,…速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。

この記事をお読み頂いている方のなかには,書類送検とは刑罰であると考えていた方もおられると思いますが,書類送検は刑罰ではなく,刑事事件の処理までの1つの手続きであるといえます。

【書類送検されるとどうなるのか】

すでに述べた通り,書類送検により,刑事事件の担当者が警察官から検察官に代わります。
検察官は,刑事事件を裁判にかけるかどうかの決定権限を持っています。
検察官による取調べの結果,検察官が「この被疑者は刑事裁判にかけて,有罪とすべきだ」と考えた場合,被疑者の方は起訴されることになります。

したがって,被疑者の方にとっては,書類送検後の検察官による取調べやその対応がとても大切になってくるのです。
より具体的に言えば,書類送検後に行われる検察官による取調べにおいて,良い心証を与え,刑事弁護士による寛大な処分を求める刑事弁護活動を受け,検察官に対して寛大な処分を求めていくことが大切になります。

被疑者の方のなかには,検察官による取調べに対して,不適切な対応をしてしまい,結果として検察官に悪い印象を与えてしまった刑事事件例も存在します。
そこで,刑事弁護士を選任し,検察官による取調べに適切な対応・応答ができるよう,法的助言を受けることがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
警察への偽計業務妨害事件で書類送検された場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。

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