お店の商品を外に持ち出す前に見つかっても、万引き(窃盗罪)となってしまう事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
※実例を基にしていますが、個人情報保護の関係で、地名等の記載は一部修正しております。
【事例】
宮城県仙台市青葉区に住む会社員のAさんは、勤務先から自宅に戻る途中にある大型家電量販店に立ち寄りました。
家電量販店に入店したAさんは、以前から気になっていた小型の美容器具を手に取り、買うべきか悩んでいましたが、そのうちに魔が差して、自分のバッグの中に商品を入れてしまいました。
その後、店内を見て回っていたAさんは、店の従業員からバックの中身を見せるように言われ、それに応じました。
バッグから精算されていない商品が出てきたため、Aさんは店の通報で駆けつけた仙台北警察署の警察官に窃盗罪を理由に逮捕されました。
【店の外に出ていなくても万引きとなってしまう?】
犯罪が成立する時点のことを既遂時期と呼びますが、窃盗罪の既遂時期はその財物(被害品)の程度によるものの、財物を事実上支配・占有した時とされます。
今回の事例のような小型の美容器具であれば、簡単に鞄などに入れて持ち出すことができてしまうため、バックに入れた時点で、既にその商品はAさんが事実上支配したとみなすことができます。
万引き事件が起きた場合、言い逃れがされないよう、店の外に出た時点で従業員や警備員が声をかけるケースが多いですが、法律上は今回のAさんのように、店の外に出る前の時点でも窃盗罪は成立します。
ところで、店の外には出ていないので、「後でレジを通すつもりだった」と弁解し、窃盗罪の成立を争うことは可能でしょうか。
結論から述べると、今回のAさんの場合は、そういった弁解が通る見込みは厳しいと考えられます。
例えば、店が用意している買い物カゴに商品を入れている、あるいは商品を直接手に持っているのであれば、その後にレジを通すことも考えられますが、精算が済んでいない商品を自分のバッグに入れることは通常考えにくいので、窃盗罪の成立を争うことは難しいといえます。
事例におけるAさんも、逮捕直後は「レジで購入するつもりだった」と弁解し、警察官の取調べにおいて争う主張をしていました。
しかし、接見に来た弁護士から、店の外に出ていなくても窃盗罪が成立すること、未精算の商品をバッグに入れた時点で、買うつもりだったという弁解をするのは苦しいことを聞き、その後は万引きするつもりだったと正直に認めました。
その結果、Aさんには勾留決定がつかずに、逮捕後すぐに釈放が認められました。
【万引きで捕まってしまったら】
Aさんのように、お店の外に出ていなければ窃盗罪は成立しないと誤解している方や、レジを通すつもりだったと弁解をされる方は少なくありません。
しかし、法律の解釈を誤り、客観的な証拠に反する弁解をしてしまうことは、かえって不利な結果を招きかねません。
事例のAさんも、逮捕直後の弁解を続けていた場合、勾留決定がつけられて10日間、20日間と身体拘束期間が延びてしまう可能性がありました。
取調べにおいて弁解をする場合も、法律の専門家である弁護士から適切な助言を受けて行ってこそ意味があります。
とりわけ、逮捕の直後から刑事事件の経験が豊富な弁護士によって、自分が置かれている状況を正確に理解することは、その後の処分結果をも大きく左右することにもつながります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所で、窃盗事件もこれまでに数多く取り扱っています。
宮城県仙台市青葉区の窃盗事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。
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