保育所での事故で業務上過失致死罪

保育所での事故で業務上過失致死罪

保育所で子供の死亡事故が発生し、業務上過失致死罪が成立するか問題となった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【参考ニュース】
うんていに首挟まれ3歳児死亡 地裁、保育所に賠償命令
YAHOO!ニュース(朝日新聞)

このニュースは、うんていでの死亡事故について、保育所に対する損害賠償請求民事裁判認められたというものです。

この記事の最後に、「事故をめぐっては、香川県警が18年2月、園長を業務上過失致死の疑いで書類送検し、高松地検が19年1月に嫌疑不十分で不起訴にした。」という記載があります。
弊所は刑事事件を専門とする事務所ですので、この部分について解説したいと思います。

~業務上過失致死罪とは~

事故が起きた時、被害者やその遺族が、事故の原因を作った側の人に対し、民事上の損害賠償請求をして認められることがあります。
それとは別に、事故の原因を作った側の人が刑事裁判で有罪となり、国から刑罰を科せられることがあります。

今回のような保育園での事故の場合、業務上過失致死罪が問題となることが多いです。
条文を見てみましょう。

刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

この条文からすると、

①業務上必要な注意を怠り
②よって人を死亡させた

と言えれば、業務上過失致死罪が成立することになります。

今回の事件では、特に①が問題となりました。
保育所にあった特注品のうんていが、業界団体が定めた安全基準を下回り、首が挟まれるなどの事故が起きやすくなっていたようです。
このようなうんていを設置していたことが、①業務上必要な注意を怠ったのではないかが問題となったのです。

しかし、このような安全基準があること自体が知られていない、あるいは内容まで詳しく知られていないという実態があり、今回の事故が起きた保育所の園長がうんていを利用させ続けていたとしても、①業務上必要な注意を怠ったとまでは言いづらかったようです。

詳しくはこちら
あとを絶たない遊具事故 背景にあるのは…
(NHK NEWS WEB)

~不起訴処分とは~

犯罪が発生すると、原則として最初に警察が捜査を開始し、その後、検察官に事件を引き渡すという流れになります(送検)。

送検を受けた検察官は、犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)にする権限を持っています。

今回のように犯罪が成立しない(するとは言い切れない)と判断した場合には不起訴処分とします。
また、犯罪をしていると判断しても、比較的軽い犯罪などでは、今回は大目に見るということで不起訴処分にすることもあります。

検察官が不起訴処分をすれば、前科も付かずに刑事手続きはそこで終了します(民事上の損害賠償義務の問題は別途生じえます)。

今回の事件でも、警察が捜査をして送検しましたが、検察官としても業務上過失致死罪が成立するとは言い切れないとして、嫌疑不十分で不起訴にしたわけです。

~犯罪を疑われたらご相談ください~

犯罪をしていない場合はもちろん、していたとしても、比較的軽い犯罪であったり、被害者に賠償して示談を結ぶことができている場合などには、意外と不起訴処分になることはあります。
不起訴処分となれば刑罰を受けず、前科も回避できます。

弁護士は示談交渉や検察官への意見書提出を行うなどして、不起訴処分などの軽い処分・判決を目指して弁護してまいりますので、ぜひご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料でご利用いただけます。

すでに逮捕されている事件では、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
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