背任で逮捕

背任で逮捕

宮城県名取市にあるV社で働くAさん。
Aさんは、取引先のB社社員と通謀し、架空の請求書をV社宛に発行させ、V社からB社へ金銭を送金させるという不正を行い、見返りとしてAさんはB社から裏金を受け取っていました。
しかしこの不正がV社にバレてしまい、V社がAさんを刑事告訴
Aさんは岩沼警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~成立する犯罪は?~

Aさんの行為には、背任罪が成立する可能性があります。

刑法第247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

本件では、V社という「他人のためにその事務を処理する者」であるAさんが、「自己」やB社という「第三者の利益を図…る目的で」、取引先と適切な金額で金銭のやり取りを行い会社に損害を与えないようにする等の「任務に背く行為」をし、V社という「本人に」対し、架空請求分の「財産上の損害を加えた」として、背任罪が成立する可能性があります。

なお、AさんがV社の取締役などの場合には、会社法の特別背任罪が適用されます。

会社法第960条
次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第1号・第2号 省略
第3号 取締役、会計参与、監査役又は執行役
第4号以下 省略

特別背任罪は、刑法の背任罪の特別類型です。
取締役など、会社の重要な地位にある人が、会社に損害を与える不正行為を行った時に適用されるものです。
刑法の背任罪よりも重い刑罰が定められています。

~刑事手続きはどうなる?~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

~弁護士の活動~

弁護士はまず、勾留を防いだり保釈請求をするなどして、釈放を目指していきます。
例えば家族を置いて逃亡する理由がないこと、すでに背任行為の証拠は警察の下にあり、口裏合わせをするなどにより証拠隠滅するおそれがないこと、会社に生じた損害は賠償する予定であること、身体拘束が続くことにより本人や家族の社会生活に過度の不利益が生じることなどを検察官や裁判官に主張し、釈放を目指します。

そして裁判においては、損害を賠償済みであること、本人が反省していること、前科がないこと、取締役解任や実名報道等により社会的制裁を受けていることなど、本人に有利な事情を出来る限り主張して、罰金あるいは執行猶予などの軽い判決を目指していきます。

~弁護士にご相談を~

逮捕されると、ご本人やご家族は、刑事手続はどのように進んでいくのか、どのくらいの刑罰を受けることになりそうか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

背任罪特別背任罪で逮捕された、取調べのために警察に呼び出されたといった場合には、ぜひご相談ください。

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