偽造クーポン使用で逮捕
偽造されたクーポン券を使用して逮捕された事件がありました。
逮捕の男「コロナの影響で生活苦しかった」 偽造クーポン券使った疑い〈宮城・多賀城市〉
Yahoo!ニュース(仙台放送)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~偽造されたコロナ対策クーポン~
この事件は、新型コロナウイルスの緊急対策として、多賀城・七ヶ浜商工会が発行し、全ての世帯に1枚ずつ配布していたクーポンの偽造品を、同市に住む男性が、同市内のコンビニで使用したというものです。
男性は、偽造有価証券行使の疑いで逮捕されました。
この罪が規定されている条文を見てみましょう。
刑法163条1項
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
有価証券とは、ざっくりと言えば、金銭的価値のある券というイメージです。
小切手や株券の他、普段よく目にするクーポン券も有価証券です。
今回の事件で問題となった新型コロナ対策のクーポン券も、それで買い物ができるという金銭的価値のある券ですから、有価証券の1つということになります。
したがって、偽造されたクーポン券を行使した男性には偽造有価証券行使罪が成立し、3ヵ月以上10年以下の懲役となる可能性があるわけです。
~偽造した場合には~
上記ニュースによると、警察は偽造クーポン券の入手方法などを調べているとのこと。
誰がこの偽造クーポン券を作ったのかわかりませんが、偽造した人には、有価証券偽造罪という別の犯罪が成立します。
刑法162条1項
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
罰則は、前述の偽造有価証券行使罪と同じく、3ヵ月以上10年以下の懲役となります。
仮に自分で偽造して自分で使った場合には、両方の罪が成立することになりますが、罰則は3ヵ月以上10年以下の懲役ということで変わりません。
しかし、他人が作った偽造クーポンを使った場合に比べれば、判決は重くなるでしょう。
~逮捕された後の手続き~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署の留置場に入れられ、警察官や検察官の取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留請求(コウリュウセイキュウ)というものをし、裁判官が許可すれば、さらに10日間、拘束される可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
事件によっては勾留されずに釈放されることもあります。
その場合、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて裁判を受けるという形になります(在宅事件)。
勾留期間の最後(在宅事件となった場合には一通り捜査が終わった後)、検察官が被疑者を裁判にかけるという判断(起訴)をすれば、裁判が行われます。
ただし、比較的軽い事件では、今回は大目に見るということで不起訴処分となり、裁判も受けず、前科も付かずに手続きが終了となることもあります。
~弁護士にご相談下さい~
あなたや、あなたのご家族が、何らかの犯罪をして突然逮捕されたり、事情聴取で呼び出された場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、軽い結果で終わる方法はないのか、報道は避けられないのか、勤務先に発覚してしまうのか、取調べではどのように受け答えしたらいいのかなど、不安だらけだと思います。
事件の詳しい内容に応じてアドバイス致しますので、ぜひお早めにご相談下さい。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
まだ逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。