銀行口座を譲渡・売買して犯罪に 宮城県気仙沼市対応の刑事事件専門弁護士②
宮城県気仙沼市在住のAさんは、知人のBさんから、Aさん名義で開設した銀行口座を貸してくれないかと頼まれた。
Aさんは貸すだけなら構わないかと思い、新たに銀行口座を開設し、Bさんに通帳、キャッシュカードを渡して、暗証番号を教えました。
Bさんはその後特殊詐欺に関わったとして詐欺罪で逮捕され、Aさん名義の銀行口座が詐欺に使われたために、Aさんも宮城県警察気仙沼警察署で事情聴取を受けることになりました。
(フィクションです。)
昨日のコラムに引き続き、口座売買について解説します。
架空請求などの特殊詐欺で振込先として使用される、マネーロンダリングに使用される、など組織的な犯罪において、譲渡・売買された口座が使用される例が数多く起きています。
口座譲渡・売買に関する犯罪は、以下の罪に該当する場合があります。
①他人になりすまして他人名義で口座を開設する場合:詐欺罪
預金口座の開設者が名義人本人であるか否かは銀行が口座開設の契約をする上で重要な事項と言えるため、名義人を偽って口座を開設することは、詐欺罪(刑法246条)にあたります。
この場合、他人名義の申込書を作成していることが大半だと思われますので、有印私文書偽造・同行使罪(刑法159条、161条)も成立すると思われます。
②本人名義で架空請求などに悪用する目的で口座を開設する行為:詐欺罪
開設される預金口座が犯罪に利用されるか否かは銀行が口座開設の契約をする上で重要な事項と言え、銀行が申込者の真意を知っていれば開設に応じないために、目的を偽って口座を開設することは詐欺罪にあたります。
③既に開設している自己名義の口座を他人に譲渡・売買した場合:犯罪による収益の移転防止に関する法律第28条に違反
犯罪収益移転防止法第28条では、他人になりすまして他人名義の銀行口座等を譲渡・交付・提供された者のみならず、相手方にそのような目的があることを知りながら銀行口座等を譲渡・交付・提供した者も同様に刑事責任を負うとされており、どちらも1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金または併科が科されます。
相手方に不正な銀行口座使用の目的があることを知っていたことが犯罪の成立要件であるため、実務では、目的を知らなかったとして無罪を主張することが多いです。
しかし、そのように主張した場合、捜査機関によって厳しい追求がされることが予想されます。
なお、譲渡した銀行口座が特殊詐欺に使用される事を知った上で銀行口座を譲渡すれば、振り込め詐欺の共犯者として詐欺罪に問われる場合もあります。
捜査機関は、特殊詐欺を防止するために口座の売買・譲渡に厳しい態度をとっているそうです。
他人に自分の銀行口座を渡してしまって悩んでいる場合は、まずは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談をご利用ください。
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