ガスボンベを爆発させ取調べ【激発物破裂罪】

ガスボンベを爆発させ取調べ【激発物破裂罪】

業務上激発物破裂罪などで取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市宮城野区で飲食店を営むAさん。
お客さんから鍋を注文された場合、カセットコンロをお客さんのテーブルに置き、お客さんの目の前で煮込む方法を採っていました。
ある日、火が付かなくなったカセットコンロ用のボンベを捨てるため、わずかに残っているガスを抜く作業を室内でしていました。
十分な換気もしておらず、室内にはガスが充満。
それに気づかなかったAさんは、、休憩のためタバコを吸おうとライターの火を付けた瞬間、ガスに引火し爆発。
火災が発生し、建物は全焼しました。
後日、一通りの治療を受け終えたAさんは、仙台東警察署から連絡を受け、取調べのために警察署に来るよう言われました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~業務上過失激発物破裂罪とは~

今回の事例と似た事故が、2018年12月に札幌で起こりました。
不要になったスプレー缶のガス抜きをした後、給湯器のスイッチを入れたところ、ガスに引火して爆発したというものです。
1年ほどたって、爆発させてしまった方は重過失傷害重過失激発物破裂の容疑で書類送検されました。

ガスボンベやスプレー缶は、飲食店だけでなく一般家庭でも使いますし、使用後の処理に問題があって火災が発生する例もあります。
残ったガスを抜いてからゴミに出すべきか否かは各自治体によっても異なるようですが、細心の注意を払って処理する必要があります。

さて、今回の事例のAさんのように、ガスボンベの処理方法に問題があり爆発させてしまった場合、業務上激発物破裂罪に問われる可能性があります。

条文を見てみましょう。

刑法第117条1項
火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。
第117条の2
第百十六条又は前条第一項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、三年以下の禁錮又は百五十万円以下の罰金に処する

赤く色付けした部分が今回のAさんに関係する部分ですが、各条文について順番に解説していきます。

117条1項は、ガスボンベなどを含む爆発の危険のある物を、わざと爆発させ、108条に規定する物または他人の所有に係る109条に規定する物(=人が住む建物や現に人が中にいる建物、人がいなくても他人の所有する建物)を壊した場合に適用される条文です(激発物破裂罪)。
放火罪と同じく極めて重く罰せられます。

一方、117条の2は、業務として行っていた行為について、不注意により爆発させた場合の規定です(業務上過失激発物破裂罪)。
Aさんの場合もこちらが成立することになるでしょう。
わざと爆発させた場合よりは軽く罰せられることになりますが、条文上は3年以下の懲役刑の可能性もあるわけです。

なお札幌の事例は、仕事として行っていたスプレー缶のガス抜きが原因でしたが、本業が不動産仲介業で、ガス抜きは本来的な業務ではなかったので、業務上過失激発物破裂罪とはならなかったと思われます。
ただし、不注意の度合いが強かったということで、業務上過失激発物破裂罪と同じ刑罰が定められている重過失激発物破裂罪で書類送検されています。

~人が死傷していると~

札幌の事例でも多くのケガ人が出ましたので、重過失傷害罪の容疑でも書類送検されています。
Aさんの場合も、Aさん以外に死亡や負傷した人がいれば、業務上過失致死傷罪に問われることになる可能性があります。

第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

~弁護士にご相談ください~

今回の事例のように、逮捕されるのではなく呼び出されたということであれば、今後も逮捕されず在宅事件として扱われる可能性が十分考えられます。
また、しっかりとした反省態度を示したり、被害者への対応をしっかり行えば、実刑判決を受けて刑務所に行くことにはならないかもしれません。

しかし、逮捕されてしまうのか、どれくらいの刑罰を受けることになるのか、今後の刑事手続きの流れ、取調べにはどう対応すればよいのかなどなど、不安な点が多いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
弁護士事務所での法律相談は初回無料で行っております。

また、万が一逮捕されている場合には、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

業務上過失激発物破裂罪などで捜査を受けている場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

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