ぼったくり店の店員を殴り逮捕【傷害罪】
ぼったくり店の店員を殴り、傷害罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
Aさんは、宮城県仙台市内の繁華街で客引きに声をかけられ、連れていかれた飲食しました。
その後、退店しようとし会計をお願いしたところ、思いのほか高い金額を提示されました。
Aさんは、
「こんな金額は払えない」
などと言いましたが、店員も引き下がろうとはしませんでした。
Aさんは店の外に出ようとしましたが、店員は追いかけてきました。
カッとなったAさんは、店先で店員を殴り、ケガをさせてしまいました。
騒ぎを見かけた通行人が救急車や警察を呼び、Aさんは、駆け付けた仙台中央警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~傷害罪が成立~
仙台では2019年に制定された条例により客引き行為の規制が厳しくなりました。
仙台市客引き行為等の禁止に関する条例を制定しました
(仙台市ホームページ)
アーケード内などの客引き行為が禁止された場所では、
「客引きは全員ぼったくりです」
といった旨のアナウンスが流れていたりします。
声のかけ方にもよりもますが、アーケード内や国分町周辺など客引き禁止地域での客引きは違法な可能性が高いわけですから、それでも客引きをしている店は危ない店なわけです。
したがって、そのような客引きに従って店に向かうのはやめるべきでしょう。
とはいえ、ぼったくりに引っかかったからと言って、警察を呼ぶのではなく、店員を殴ったりすることは、客引き以上の重い犯罪をしてしたことになってしまうので注意しましょう。
Aさんの場合も傷害罪が成立してしまいます。
刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
~逮捕された後の流れは?~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~軽い結果を目指すために~
前述した傷害罪の条文を見ると、長期間の懲役刑になる可能性もあるわけですが、実際には不起訴処分や罰金刑で済む可能性も十分考えられます。
不起訴処分や略式起訴などの軽い処分・判決を目指すには、犯行自体が比較的悪質性が低いことや、前科がない(あるいは少ない)、被害者に謝罪・賠償して示談が締結できている、といった事情があることが重要です。
しかし、特に示談については、逮捕されていると本人は示談交渉できません。
また、逮捕されていなくても、あるいは家族が代わって交渉しようにも、何と言って示談をお願いしたらよいのか、示談金はいくらにしたらよいのか、相手は怖い人なのではないかなど、不安な点が多いと思います。
示談を締結できたか否かによって、不起訴処分になるかどうかといった結果が変わってくることも多くありますので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご依頼を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談をご利用ください。
0120-631-881まで、ご連絡をお待ちしております。