あっせん収賄で逮捕

あっせん収賄で逮捕

議員があっせん収賄罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県の某自治体で議員を務めるAさん。
自己の選挙区内の建設会社社長Bさんから、公共工事の発注で取り計らいをしてもらうよう、役所の関係部局に働きかけてもらえないかと頼まれました。
Aさんはこれを承諾し、そのお礼としてBさんはAさんに対し金銭を渡しました。
そしてAさんは関係部局の職員に対し、Bさんの会社について有利に扱うよう要請しました。
その後、報道機関の丹念な取材によりこの事実が明るみに出てしまい、AさんとBさんは宮城県警により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~あっせん収賄罪とは~

役所への働きかけを依頼され、金銭を受け取ったAさん。
このような事例で逮捕された事例は過去に多くあり、特に国会議員の場合には大きく報道されています。
この行為には、あっせん収賄罪という犯罪が成立することになります。

刑法第197条の4
公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。

条文の文言の順番に沿って、今回の事例で犯罪の成立要件を満たしているか確認していきます。

まず、地方議会議員であるAさんは、「公務員」です。

次の「請託」とは、公務員がその職務に関する事項について依頼を受けてこれを承諾することをいいます。
公共工事をどの業者に発注するかという点は、広い意味で議員の職務に関する事項に含まれます。
また、Aさんは発注について取り計らいをしてほしいという依頼を受けて承諾しています。
したがって「請託を受けた」といえます。

また、公共工事の発注について公正な方法によらず、取り計らいを行うよう働きかけるのは、「他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせん」に該当することは明らかです。

さらに条文には、「あっせんをすること又はしたことの報酬として」とありますから、実際に働きかけを行ったか否かは関係ありません。
また、「賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき」ともありますので、賄賂を受け取った場合はもちろん、賄賂を要求したり約束しただけでもあっせん収賄罪は成立します。
Aさんは実際に働きかけを行っていますし、賄賂もすでに受け取っているので、問題なく該当します。

したがってAさんにはあっせん収賄罪が成立します。
刑罰は5年以下の懲役となり、受け取った賄賂も没収されることになります。

第197条の5
犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

さらに、収賄で有罪となれば自動的に議員としての身分を失うことになります。
そして有罪の中でも執行猶予になった場合は猶予期間中、実刑判決となった場合は出所から5年経過するまでは選挙権を失い、被選挙権に至っては10年経過するまで失うことになります。

公職選挙法
第11条1項
次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
4号
公職にある間に犯した刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十七条から第百九十七条の四までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成十二年法律第百三十号)第一条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から五年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者
第11条の2 公職にある間に犯した前条第一項第四号に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から五年を経過したものは、当該五年を経過した日から五年間、被選挙権を有しない。
第99条
当選人は、その選挙の期日後において被選挙権を有しなくなつたときは、当選を失う。

~Bさんは贈賄罪~

当然ながら、賄賂を渡したBさんは贈賄罪に問われることになります。

第198条
第百九十七条から第百九十七条の四までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。

Bさんは、「第百九十七条の四…に規定する賄賂を供与し…た者」に当てはまるわけです。

~弁護士にご相談ください~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されると、いつ釈放されるのか、有罪となるのか、失職するのか、公民権停止となるのか、どれくらいの刑罰を受けるのかなど不安な点が多いと思いますので、ぜひお早めにご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

あっせん収賄罪贈賄罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

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