【過失傷害(刑法209条1項)】 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。 (209条2項) 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。 【過失致死(210条)】 |
1 自転車事故
自転車事故を起こした場合、刑法や道路交通法違反により罪に問われる可能性があります。例えば、自転車で人身事故が発生した場合には、刑法上の過失傷害罪や過失致死罪、重過失致死傷罪の適用が問題となります。
自動車の場合であれば、自動車運転死傷行為処罰法によって刑罰に問われますが、自転車には自動車運転死傷行為処罰法に相当する特別法が規定されていないため上記規定によって処罰されます。
なお、事故を起こした場合に、酒酔い運転をしていたり、ひき逃げをしたような場合では、道路交通法上の罪について刑事責任を問われることとなります。
2.Q&A
①自転車でも飲酒運転は道路交通法上、処罰されますか?
はい。
道路交通法で、「車両」とは、「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。」と定義されています(2条1項8号)。そして、「軽車両」とは「自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。」とされています(同11号)。
つまり、道路交通法上は、自転車も「車両」であるとされます。
例えば、飲酒運転に関する規定は、以下のようになっています。
【道路交通法】 65条1項 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。 117条の2第1項 一 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの |
このように、自転車であっても、酒気帯び運転をすることは違法となり、刑罰の対象となります。なお、酒酔い運転の場合は、「車両等(軽車両を除く)」となっているため、処罰されることはありません。
②自転車事故で注意すべき点はありますか?
自転車の場合、交通反則金制度がないため、強制的に刑事事件になってしまいます。そのため、自動車の場合には反則金で済むようなものであっても、刑事事件になってしまいます。
③業務上過失致死傷罪にはならないのでしょうか?
通常ならないと考えられています。
業務上過失致死傷罪の「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、その行為が他人の生命身体等に危害を加えるおそれのある行為を言います。
自転車の場合には、人の脚力のみで走行し、軽量で操作が容易であって、速度も通常他人に重大な傷害を負わせる一般的・類型的に大きいとは言えません。そのため、「業務」には当たらないと考えられています。しかし、電動機付自転車やロードバイクの場合には、業務上過失致死傷に問われうることがあると思われます。
~自転車事故における弁護活動~
①示談交渉
自転車事故は、刑法犯の中でも比較的軽微な犯罪に位置付けられます。もちろん、被害の大きさにもよりますが、多くは罰金や科料の処分となることが見込まれる事件類型です。また、事案によれば不起訴処分で終結する可能性も十分にありえます。
過失傷害罪の場合には、親告罪となっています。そのため、被害者の方と和解することができれば、告訴を取り消してもらうことができ、刑事事件としての進行を止めることができます。
一方、起訴されたとしても、示談をしていれば、執行猶予付き判決や減刑を勝ち取ることができる可能性が高まります。
②早期の身柄解放
違反の態様が悪質であったり、違反の程度が著しいような場合、また、出頭要請に従わないなど捜査に非協力的であったりした場合には、逮捕や勾留がなされる可能性もないとはいえません。その場合でも、被疑者が反省しており逃亡したり証拠隠滅したりするおそれがないことを客観的な証拠に基づいて説得的に主張していきます。また、早期に釈放されることで、会社や学校を長期間休まずに済み、その後の社会復帰がスムーズに行いやすくすることができます。
③無罪の主張
自転車における人身事故で罪に問われるのは、過失が認められる場合です。
もっとも、予見不可能な事情があるような場合には、過失は否定されます。そのような事情がある場合には、事故当時の運転状況や事故態様、被害者の行動、現場の状況などから、予見不可能であったことを説得的に主張し、不起訴処分や無罪判決の獲得を目指します。
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