宮城県での不正ログインで逮捕
他人のSNSに不正ログインし、不正アクセス禁止法違反で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
ご当地アイドルとして活動する女性Vさんのファンとなり、イベントなどに積極的に参加していました。
そのうち、Vさんへの好意を抑えられなくなり、私生活をのぞいてみたいと思うようになりました。
Aさんは、VさんのSNSの非公開アカウントを発見。
パスワード等を推測し、ログインすることに成功してしまいました。
Vさんの下へ、いつもとは違うデバイスからログインがあったことの通知があり、Vさんはファンの誰かのしわざではないかと思い、怖くなって警察に相談。
後日、Aさんの自宅に仙台中央警察署の警察官が突然訪れ、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)
~不正アクセス禁止法とは~
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(略称・不正アクセス禁止法)は、権限がないのにコンピューターネットワークに侵入するなどの行為を禁止している法律です。
ハッカーによるサイバー攻撃などの行為なども禁止の対象ですが、身近なところでは、勝手に他人のSNSにログインすることなども含まれます。
条文を見てみましょう。
第2条4項
この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
第1号
アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
非常に読みにくい条文ですが、要は勝手に他人のIDやパスワードを入力してログインすることは「不正アクセス行為」のひとつです、と言っている条文です。
さらに条文を見てみましょう。
第3条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
第11条 第三条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
こちらは短くてわかりやすいですね。
不正アクセス行為をすると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金になる可能性があるということです。
なお、ログインに成功しなかった場合は、この法律による罰則の対象とはなりません。
しかし、成功してしまったら懲役刑や罰金刑を受け、前科が付いてしまう可能性があります。
興味本位でやってみるのもやめるべきでしょう。
~今後の流れ~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が勾留決定をすれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、逃亡や証拠隠滅がないと言える理由を記載した意見書を検察官や裁判官に提出するなどして、検察官の勾留請求あるいは裁判官の勾留決定を防ぎ、最初の3日以内に釈放されることを目指します。
その後、釈放されたか否かに関わらず、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
比較的軽い事件では不起訴処分がなされ、前科も付かずに手続が終了することもあります。
また、起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑に処する略式起訴がされることもあります。
弁護士としては、被害者に賠償して示談を締結するなど、有利な事情を揃えて、不起訴処分や略式起訴などの軽い結果となるよう弁護活動をしてまいります。
~お電話ください~
逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
不正アクセス禁止法違反などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。