取調べの可視化(録音・録画)

1 可視化とは

可視化とは、取調べの様子を録音・録画することを指します。

従来、取調室の中は密室でした。その中で、取調官と被疑者が、どのようなやり取りを行い、どのように調書が作成されたのかは全く分かりませんでした。

後日裁判になって、自白の任意性に疑いがある、つまり無理やり自白させられたと被告人が主張するときにも、警察官などはそのようなことはなかったの一点張りで、結局何があったのかわからないという形になることもありました。

このような争いを避けるために、取調べの様子を録画することが求められるようになりました。

2 改正刑事訴訟法により、可視化の対象となった事件

取調べが録画されるようになった事件は、大きく分けると以下の2種類です。

  1. 裁判員裁判対象事件
  2. 検察庁独自捜査事件

①に含まれるのは、殺人や放火、危険運転致死などの重い犯罪です。自白が任意であるかどうか特に問題になる事件であるため対象とされました。

②は特殊な事件です。通常、警察が捜査し、検察庁に事件を送るという流れをたどります。

しかし、贈収賄や汚職など、一定の政治的な事件については検察官が独自に捜査をするということがあります。

この系統の事件も重大事件であり、自白の任意性が争われるため、問題となります。

3 可視化への対応

ところで、可視化は対象事件であれば必ずされるわけではありません。例外として、①機材がない場合②本人が拒んだ場合③本人が暴力団員である場合には、録音録画されません。

弁護側の対応としては、本人に拒んでもらってあえて録音録画をしないか、それとも録音録画をそのまましてしまうか、選択することとなります。

録音録画していると、取調官が暴力を加えたり、だますような言動をした場合にそれが明白に記録されます。反対から言うと、録音録画されていることが抑止力にもなります。

しかし、反面、意図せず不利な供述をしてしまった場合、もはや任意性が争えるような状況にありませんから、そのまま裁判で証拠として用いられてしまいます。

どのような場合に録音録画を拒むかは、ケースバイケースです。対象事件の取調べを受けられる際には、一度弁護士にご相談ください。

取調べに不安を抱えている方、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に是非、ご相談ください。

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